犯罪インフラ根絶へ 茨城県警、不法滞在外国人対策 車や携帯、取得阻止に力

不正登録され、不法残留のインドネシア人に売られた軽乗用車(県警提供)

茨城県警が不法滞在外国人の犯罪を助長する車両や携帯電話などの「犯罪インフラ」根絶に力を入れている。金属盗など各種犯罪に使われる可能性があるためで、2月には不正登録車両のブローカーとみられるインドネシア国籍の男(31)ら3人を逮捕。入管との合同摘発も合わせ、不法滞在者にとって「住みにくい県」を目指す。

警察庁によると、犯罪インフラは他人名義の携帯電話や車両、預貯金口座をはじめ、就労資格のない外国人の雇用・あっせん、身分証の偽変造などが含まれる。いずれも不法滞在外国人が犯罪をやりやすくするために提供され、日本人が絡むことも少なくない。

県警は今月、不正に登録された軽乗用車を不法滞在外国人に販売するなどしていたブローカー3人を、電磁的公正証書原本不実記録・同供用の疑いで逮捕。主犯格とみられるのは、2015年に短期滞在ビザで入国し、その後不法残留となっていたインドネシア国籍の30代男。名義貸しや登録手続きには日本人2人も関わっていた。

捜査関係者によると、男は交流サイト(SNS)を通じ、不法滞在のインドネシア人に不正登録の軽乗用車を1台十数万円で販売していたとみられる。車検登録時に車庫証明が不要になる軽乗用車に目を付け、不正登録を繰り返していた可能性がある。

日本人のうち1人はこの男に住民票を売却。23年5月以降、同じ氏名での登録は100台を超え、多くが不法滞在者に販売されたとみられるという。

県警幹部は「不法滞在外国人にとって自動車は県民の生命、財産を脅かすツール」と警戒。県内には他にも同様のブローカー集団があるとみている。

県警はこのほか、生活や犯行の資金源となる不法就労先の取り締まりも強化。23年に不法就労助長罪で検挙、摘発した雇用主は25人で、過去5年間で最多となった。コロナ禍で中断していた入管との合同摘発も再開しており、犯罪拠点になる可能性がある集合住宅などの合同摘発も進めている。

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