決算発表一巡、金融政策に注目か AI熱狂継続も=今週の米株式市場

Lewis Krauskopf

[ニューヨーク 23日 ロイター] - 今年の米株式市場は好調な企業決算を受けてS&P総合500種指数が最高値を更新しているが、今後は決算発表が一巡したことを受けて金融政策の行方に再び注目が集まる可能性がある。

S&P500指数は半導体大手エヌビディアの好決算を受けて最高値を更新。今年に入り6.7%以上値上がりしている。

S&P500採用企業の大多数は決算発表を終了。LSEG・IBESのデータによると、採用企業の2023年第4・四半期利益は前年同期比10%増となる見通し。これは22年第1・四半期以来の大幅な増益だ。

決算発表が一巡したことで、今後はマクロ経済に再び注目が集まる可能性がある。国債利回りは早期利下げ観測の後退を背景に着実に上昇している。

エドワード・ジョーンズのシニア投資ストラテジスト、アンジェロ・クルカファス氏は「市場が利回りの上昇を無視できたのは好調な業績が理由だ。決算発表シーズンが終われば、金利と利回りの動向に再び注目が集まるかもしれない」と述べた。

国債利回りの上昇は株価を圧迫することが多い。株式よりも債券の魅力が高まるほか、企業や家計の資金調達コストが上がるためだ。米10年国債利回りは4.35%と、昨年11月下旬以来の高水準を記録した。

これまでは企業業績や国内経済に対する期待で、国債利回りの上昇が無視されてきたが、経済指標でインフレが予想以上に根強いことが示されれば、連邦準備理事会(FRB)の利下げが遅れ、市場の状況が変わることも考えられる。

フェデラルファンド(FF)金利先物市場は23日時点で、年内に約80ベーシスポイント(bp)の利下げがあると予想。1月初旬は150bpの利下げが織り込まれていた。

29日には1月の個人消費支出(PEC)価格指数が発表される。ロイターのエコノミスト調査によると、市場予想は前月比0.3%上昇。前月は0.2%上昇だった。

ホライゾン・インベストメント・サービスのチャック・カールソン最高経営責任者(CEO)は「インフレの鈍化傾向が再開すれば、金利面でプラスになり、株価上昇の次のきっかけになる」と指摘。

また、多くの投資家は人工知能(AI)に対する熱狂が当分続くと予想。エヌビディアの時価総額は23日に初めて2兆ドルに達した。

UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのアナリストは「米国の大型ハイテク株に戦略的なエクスポージャーを維持することが重要だと考えている。ハイテク株はさらに上昇する可能性がある」とし「(生成AIは)この10年間の成長テーマになる」と述べた。

今週は消費者信頼感指数や耐久財受注など、マクロ経済指標も発表されるほか、小売り大手のロウズやベスト・バイの決算も予定されており、個人消費の動向を探る手掛かりとなる。

クレセット・キャピタルのジャック・エブリン最高投資責任者(CIO)は、景気が「ソフトランディング(軟着陸)」という微妙な線を維持すれば株価にプラスになると指摘。「成長とインフレが鈍化し、FRBが利下げに踏み切れる環境が整えば、平均株価にプラスになるはずだ」と述べた。

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