トリニータ、開幕戦は仙台と1―1ドロー 途中出場の長沢が同点弾【大分県】

【大分-仙台】後半38分、大分のFW長沢(左から2人目)がクロスに合わせ、左足で同点ゴールを決める=レゾナックドーム大分
後半38分、同点のゴールを決め、仲間と喜ぶ大分のFW長沢(左)
ドリブルで攻め上がる大分のMF保田(中央)

 サッカーJ2の大分トリニータはリーグ第1節の25日、大分市のレゾナックドーム大分で仙台と対戦し、1―1で引き分けた。ホームでの開幕戦を勝利で飾れなかったものの、1万6千人を超える観客の後押しを受けて勝ち点1を獲得した。

 大分は前半40分にミスから先制点を奪われた。後半11分に交代カード3枚を切って徐々にリズムをつかむと、38分に途中出場のFW長沢駿が左足で同点にした。

 第2節の3月2日もホームで、昨季J1だった横浜FCを相手に今季初勝利を目指す。

 【大分1―1仙台評】

 大分は後半に追い付き、勝ち点1を獲得した。立ち上がりから今季志向するハイプレスを随所に見せたが、徐々に互角の展開に。前半40分、ミスから先制を許した。

 後半はボールを支配する時間帯が増えた。38分、いずれも途中出場のDF薩川のクロスにFW長沢が合わせて同点にした。その後は追加点を奪えなかった。

■采配ピタリ、貴重な勝ち点1

 昨季最多を上回る1万6千人余りのサポーターに勝利を届けることはできなかった。3季ぶりに大分で指揮を執る片野坂知宏監督は「90分のプランの中で選手がしっかり戦ってくれた。課題はまだあるが、貴重な勝ち点1だ」と悲観はしなかった。

 立ち上がりから攻守の切り替えが速い「シームレス」なサッカーを展開し、今季のテーマを体現する意図を見せた。

 試合が動いたのは40分、ミスから先制を許した。それでも「90分のプランの中では(先制されるのも)想定内」(片野坂監督)と慌てなかった。

 後半は流れをつかみ、11分には一気に3枚の交代カードを切った。この采配が当たった。

 同点弾は38分。抜け出したDF薩川淳貴のクロスにFW長沢駿が合わせた。薩川は「シュートだけでなく、複数のパスを考えるだけの余裕があった」とパスを出したMF保田堅心に感謝。J2初出場で結果を出した。

 開幕戦は「あくまで38分の1」(片野坂監督)ながら、選手たちは強度の高い練習をこなし、この日に合わせてきた。

 「ベストコンディション。わくわくしている」と話していた保田は、ボールを奪うと両手を挙げて観客をあおった。「ドーム全体に一体感が生まれて心強かった」と気迫を前面に出した。

 来月19歳になるプロ2年目は「次こそは勝利をサポーターと分かち合いたい。もっと攻撃のバリエーションを増やし、ゴール前の精度を高めていきたい」と誓った。

■再契約で戻ってきた男、窮地救う

 再契約で戻ってきた長身FW長沢駿が後半38分、値千金の同点弾で窮地を救った。「引退も考えていた。こんな日を迎えられるなんて想像もできなかった」と感慨深げに振り返り、「次こそチームを勝たせる」と秘めた闘志をたぎらせた。

 昨季終了後、契約満了を告げられた。今年で36歳。高年俸も足かせになった。それでも腐らず、「まだやれる」と地元静岡で調整していた。

 年明け早々、大分の外国人FWがけがで長期離脱することになり、オファーがきた。返答に時間はかからなかった。

 契約を残していた大分の自宅に戻り、すぐチームに合流。プロ18年目の経験を生かし、開幕に間に合わせた。

 ゴールは得意の頭ではなく、左からのクロスに左足を反応させた。「間に合うかぎりぎりだったが、勝負どころと踏んでいた。懸命に走り、あとは合わせるだけだった」と笑顔で事もなげに語った。

 大分トリニータ・片野坂知宏監督の話 昨季は大分に2勝していた嫌な相手で予想も難しかった中、選手がよく対応してくれた。ただ、まだ成長段階。もっとアグレッシブなサッカーで、興奮や熱狂を生み出したい。

 GK浜田太郎 (先発メンバー発表後に急きょ起用)J2初出場で前半は緊張感がありプレーが硬かったが、後半は準備してきたことを出せた。だが失点は自分のミスから生まれた。修正して次戦も出場し、勝利に貢献する。

①レゾド

大分1―1仙台

0―1

1―0

▽得点経過

前40分【仙】相良

後38分【分】長沢

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