日立システムズ、ドローンとAI解析ソフトウェアを活用した森林調査のDX化実証実験を実施。約8割の業務工数削減へ

本実証実験は日立システムズが株式会社イメージワン(以下、イメージワン)、DeepForest Technologies 株式会社(以下、DeepForest Technologies)、株式会社柳土木設計事務所・栁土地家屋調査士法人(以下、柳土木設計事務所)と連携し、ドローンを活用して、町有林経営計画策定対象となる森林の樹木検出や樹種識別、林相区分図の作成などを実施した。

実際に森林に入って行う実踏での森林情報取得調査では19人日ほどかかる場所でも、ドローンとAI解析ソフトウェアを活用すると、わずか4人日程度で実施可能だ。これにより、短時間での詳細かつ正確な森林資源情報の取得や、経営計画の策定などに寄与するデータの作成が可能であること、業務工数やコスト削減を見込めることが確認できた。

日立システムズは、本実証実験で得たノウハウを活用することで、森林調査のDXを支援する新サービスの提供を2024年度中に開始する予定だ。また、カーボンクレジットのひとつであるJ-クレジット創出のための、LiDAR搭載ドローンでの高精度な森林資源情報取得にも対応する予定だとしている。

実証実験の概要

本実証実験は女川町との協創プロジェクトの一環として、日立システムズが取りまとめを行う形で実施された。女川町の町有林のうち、町有林経営計画を策定中の森林を対象に、ドローンによる写真測量ならびにLiDAR測量を実施後、AI解析ソフトウェア「DF Scanner」やレーザードローン用点群処理ソフトウェア「DF LAT」を活用することで、専門知識を有していなくても、樹木検出や樹種識別、林相区分図の作成、各樹木単位の幹材積量(樹木の体積)推定といった森林資源情報のデジタル化に成功した。

本実証実験による林相の分析結果から、すべてスギだと思われていた場所が、実際にはヒノキやアカマツ、広葉樹もあることが分かり、町有林経営計画の見直しや詳細化に貢献することができた。

また、実証実験の結果、石巻地区森林組合をはじめとした多くの森林組合などが所有しているLiDAR非搭載型ドローンのデータでもLiDAR測量データを用いた分析と比べて遜色ない林相の分析などが可能であることが分かった。

加えて、実際に森林に入って行う実踏での森林情報取得調査では19人日ほどかかる場所でも、ドローンとAI解析ソフトウェアを活用すると、わずか4人日程度で実施可能であることが確認できたという。

林相の分析結果

背景

  • ・カーボンニュートラルの推進や2019年に施行された「森林経営管理法」に伴う森林経営管理制度などに伴い、適切に整備されていない森林に対して間伐や保全を行う動きが活発化しており、その準備作業として必要な森林調査が多くの場所で検討されている。
  • ・人が森林に立ち入る森林調査には大きな労力や時間、コストがかかり、傾斜地では転倒や滑落の危険性もあります。そのため、素早くかつ安全に安価で森林調査を行うことが強く望まれている。

今後の取り組み

日立システムズは本実証実験で得たノウハウを活用することで、森林調査のDXを支援する新サービスを2024年度中に提供開始する予定だ。

クライアントのニーズに合わせて、日立システムズがドローンの手配(空撮作業)も含めて対応し、業務工数やコスト削減、地域の森林整備の促進に貢献する。また、J-クレジット創出のための、LiDAR搭載ドローンでの高精度な森林資源情報取得にも対応する予定だ。

地域森林の保護に取り組む森林組合や自治体などに対し、全国約300拠点のネットワークを活用した日本全国へのサービス展開をめざすと同時に、カーボンクレジット創出と掛け合わせた持続可能な森林経営の実現を支援することにより、国土の約7割を森林が占める日本の林業の活性化、ひいては地域活性化に伴う地域社会への貢献に取り組んでいくとしている。

▶︎日立システムズ

© 株式会社プロニュース