高校タイトルを独占! ライフル射撃・内田(長崎北) 真の日本一目指し恩返しを

「大学でもっと強くなって、みんなに恩返しがしたい」と意気込んでいる内田=長崎市、ホテルセントヒル長崎

 高校2年の秋、初めて立った国体の舞台。ライフル射撃少年男子ビームピストル(BP)に臨んだ内田翼は、決勝で高得点を連発して予選6位から逆転優勝を飾った。
 「高校生活の中で一番印象に残っている大会。優勝できるとは思っていなかった。めちゃくちゃうれしかった」
 以降、身長163センチの小柄な少年の快進撃は止まらなかった。翌春の全国高校選抜大会で優勝すると、夏の全日本高校ピストル選手権でBPとエアピストル(AP)の2冠を達成。全国主要タイトルを独占してきた。東アジアユースエアガン選手権も高校2年から2年連続で代表入り。計4個のメダルを獲得した。
 祖父は国体に選手、監督として29回出場している長崎県ライフル射撃協会の友清克己副会長。その影響を受けて矢上小4年から競技を始め、祖父と同じピストル種目に専念してきた。
 もちろん、気が乗らない時期もあった。東長崎中時代は「自宅から練習場所も遠いし、コロナの影響で試合もなくなって楽しくなかった」。でも、高校進学後は「友だちもいっぱいいて、部活が大好きだった」。祖父からの「基本が崩れないように」という教えを胸に、世代ナンバーワン選手に成長した。

高校2年時に出場した栃木国体少年男子で優勝して以降、全国、国際舞台で結果を出し続けてきた内田=宇都宮市、栃木県ライフル射撃場

 悔いが残っているのは3年秋の栃木国体。高校生までの種目であるBPの最後の試合を「絶対に優勝して“卒業”する」と決めていたが、調子が上がらず6位に沈んだ。「悔しさしかない。練習不足だった」。基本を大切にする自分の射撃をできなかったことに納得できなかった。
 卒業後は同大に進学。五輪種目に採用されているAPに専念する。高校時代からBPと並行して練習は続けており「はっきり言ってAPの方が楽しい」。3年の春に社会人、大学生も出場した全日本選手権で5位入賞するなど、すでに日本のトップレベルに絡める力も備えている。
 そんな実績を残してきただけに、周囲の期待やプレッシャーは大きい。「でも、逆に楽しみでしかないと思っている。大学生の間に社会人も含めて1位になって、最終的には五輪に出てメダルを取りたい」
 この道に導いてくれた祖父、これまで支えてくれた人たちに結果で恩返しするために。サラブレッドは真の日本一を目指して新たなステージに挑む。  

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