元ミス日本 伊藤千桃さんの春を待つ葉山での暮らし「庭の金柑から作る甘露煮が楽しみです」

自然に恵まれた神奈川県葉山町で暮らす、伊藤千桃さん。質素で豊か。ありのままの、飾らない自然な暮らしを楽しんでいらっしゃいます。そんな千桃さんの春支度や季節の味について、お話を伺いました。庭の金柑から作る、千桃さん流の甘露煮をご紹介しましょう。

profile
伊藤千桃さん
いとう・ちもも●1950年ジャカルタ生まれ、1972年度ミス日本、元女優。結婚後、子育てのために葉山に移り住む。離婚後は「桃花源」の屋号でレストランを営み、旬の地野菜を使った料理で人気に。現在はデリバリーや民泊、オリジナルの野草茶の販売(https://chimomo.official.ec/)や、『いとよし』とのコラボでワークショップ(https://ito-yoshi.com/)を行う。
著書に『千桃流・暮らしの知恵』※現在は電子書籍版のみの扱い(主婦の友社)。

食べごろの金柑はリスやヒヨドリとの取り合い

豊かな自然に恵まれた神奈川県葉山町の山の麓で暮らす伊藤千桃さん。

寒くなると母屋のシンボルツリーである金柑の木に可愛らしい実がなりはじめ、リスやヒヨドリなど野生動物たちとの闘いが始まります。

「グリーンの実がオレンジ色に熟すのを心待ちにしていると、リスやヒヨドリに横取りされてしまうので、ネットを張ったり、フクロウのオブジェを吊るしたり、いろいろ対策をとってきました」

グリーンのネットは100円ショップ、フクロウをかたどったアクリルのオブジェはネットで探して購入。

「フクロウなどの猛禽類は、森の動物たちの食物連鎖の頂点に君臨しているようなんです。それで、リスなどのげっ歯目だけでなく、カラス、ムクドリも撃退できる、とネットに書かれていて、これはいい!と思って買いました。はじめは効果があったのですが、だんだん慣れてきてしまったみたい(笑)」

野生動物たちは、少しかじって捨ててしまうため、地面には金柑の実の残骸がたくさん……。

「キュッ、キューといったリスの鳴き声がひんぱんに聞こえますね。庭に出るとカサカサっと逃げていくのがわかります。先日は、ムクドリが数羽襲来して、大胆に突いていました」

種の少ない早熟の金柑を甘露煮に

被害に遭う前の少し青い金柑を収穫。

ビタミンやミネラルも豊富で、風邪予防など冬の健康づくりにも役立つ金柑。
完熟した実はそのまま食べても美味しいですが、千桃さんは早熟の実を甘露煮に様々な料理にアレンジを楽しんでいます。

「甘露煮にする場合は、早熟の方が、種が少なくて食べやすいですし、砂糖をで甘みを足すので、完熟していなくてもいいんです」

<ツヤツヤと金色に輝く金柑の甘露煮の作り方>

①きんかんはきれいに洗い、竹串を使ってヘタを取る。
②煮る際に破裂しないよう竹串で数ヶ所穴をあける。
③鍋に金柑がかぶるまで水を入れ、沸騰させて茹でこぼす。
④新たに水を注ぎ、砂糖(金柑の総重量の約6割が目安)を溶かし、再度中火にかけて落しぶたをする。
⑤沸騰させずに中火でゆっくり20分煮て、そのまま冷ます。

最後にお好みでジンなどのリキュールを入れるのが千桃さん流。

甘酸っぱい金柑の蜜が口いっぱいにトローリ

「そのままお茶うけにしてお出ししたり、ヨーグルトや紅茶に入れたり、パウンドケーキなどに入れて焼いたり。たくさん作り置きして冷凍し、夏はシャーベットにしても美味しいですね」

甘露煮をチョコレートでコーティングしてバレンタインデーのギフトに。インドネシア語教室のクラスメイトに配ったら、とても美味しいと喜ばれたそう。

口に入れると皮がはじけ、中からシュワッとほろ苦く甘酸っぱい蜜があふれ出します。

金柑は昔からのど飴や生薬にも用いられるくらい栄養が豊富。
甘露煮にすれば、ストックができ、皮ごと手軽に食べられてアレンジも自在です。

千桃さんの金柑の甘露煮レシピ。簡単に作れるのでぜひ試してみてください。

甘露煮と一緒に、手製の野草茶も!

長年、千桃さんの健康と美容を支えてきたのが自家栽培・自家焙煎の薬草茶。
千桃さんが四季折々の葉を庭の草木から手摘みし、手作りをしています。

この完全無農薬のハーブティーの販売を昨年からスタート。季節ごとに味わいが変わり、現在は、能登半島チャリティーとして、シーズナル和ハーブティー(ティーバッグタイプ)&プチおやつセットも販売中。
https://chimomo.official.ec/

撮影/砂原文


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