2週間で1億4300万円より地元V 涙のタバタナキット「夢がかなった」

地元タイの大ギャラリーが祝福(撮影/村上航)

◇米国女子◇ホンダ LPGAタイランド 最終日(25日)◇サイアムCC オールドコース(タイ)◇ 6576 yd(パー72)

首位タイで迎えた最終18番(パー5)。グリーン手前から土手でクッションを入れたアプローチが止まりきる前から、タイのパティ・タバタナキットは何度もこぶしを握った。勝負を決めるバーディ、3年ぶりのタイトル、しかも地元優勝を確信した。涙が止まらないチャンピオンをツアー仲間、後押しした大ギャラリーが祝福した。

かつて自分も観戦したトーナメントは、2015、16年にアマチュアで出場。「多くのことを学び、ここから私は成長した。この大会は私にとってLPGAの原点。みんなが応援してくれている母国で優勝できるなんて、夢がかなった」。21年のアリヤ・ジュタヌガンに続くタイ勢2人目の大会制覇となった。

3年ぶりの2勝目に涙が止まらず(撮影/村上航)

出だし2連続バーディから順調にスコアを伸ばし、10番のバーディで通算20アンダーに到達。独走態勢を築くかと思いきや、15番でティショットを右に大きくミスして唯一のボギー。一時はアルベイン・バレンズエラ(スイス)に並ばれた。

直後の16番(パー3)でバーディを奪い返せたことが大きかった。6Iでの完璧なショットからバウンスバック。「今週のベストバーディのひとつ。まるでスナイパーのようにターゲットを狙って、本当にクールな瞬間だった」と胸を張る。

2021年にメジャー「ANAインスピレーション」(現シェブロン選手権)で優勝。同年の「東京五輪」にも出場し、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。輝かしいキャリアのスタートにも、初勝利以降タイトルからは遠ざかった。この大会を2010年に制した宮里藍さんもサポートしたメンタルコーチのピア・ニールソンとリン・マリオットに師事。「1ショットずつ、最善を尽くすこと」。苦しい時に前を向くのはこの日も同じだった。

かつてギャラリーとして観戦した試合の頂点に(撮影/村上航)

前週サウジアラビア開催の欧州女子ツアー「アラムコ・サウジレディース・インターナショナル」から2連勝。2週間で95万2743ドル(約1億4330万円)を稼いだが、それ以上に地元で、そして初めて両親の前で勝ったことを喜んだ。「どんなプレーをしようとも、両親は私を誇りに思ってくれているはず」と特別な1勝をかみしめた。(タイ・チョンブリ/亀山泰宏)

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