プロ11年目のトンプソンが“3度目の正直”でツアー初優勝!パーセルとのダブルスも制し2冠に輝く<SMASH>

男子テニスツアー「ミフェル・テニス・オープン・テルセル・オッポ」(2月19日~24日/メキシコ・ロスカボス/ハードコート/ATP250)は現地24日にシングルス決勝を実施。第8シードのジョーダン・トンプソン(オーストラリア/世界ランク40位)が第4シードのキャスパー・ルード(ノルウェー/同12位)を6-3、7-6(4)で下し、悲願のツアー初優勝を手にした。

2013年のプロ転向から10年以上の時を経て、ようやく待ちに待った瞬間がやってきた。

今大会、準々決勝ではマッチポイントを3度凌いで19歳のアレックス・ミケルセン(アメリカ/74位)を破ったトンプソン。準決勝では3時間40分の大接戦の末に元世界2位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/現6位)を撃破。前回王者のステファノス・チチパス(ギリシャ/11位)を破ったルードとの決勝へ駒を進めていた。

トンプソンがツアー決勝に進むのは今大会がキャリア3度目。過去2度は2019年と23年、いずれも「リベマ・オープン」(オランダ・スヘルトーヘンボス/芝/ATP250)で初タイトルを逃していた。その悔しさを糧に“3度目の正直”を果たした形だ。

決勝でもトンプソンは元世界2位のルードを相手に安定したプレーを披露。ルードが自身のディフェンス力を警戒してフォアハンドのサイドアウトを繰り返す一方、トンプソンは落ち着いてポイントを重ね、第6ゲームで先にブレークを果たす。第9ゲームではセットポイントを2本握ってからルードの反撃に遭うもブレークバックを許すには至らず、53分で第1セットを先取した。
第2セットでは第2ゲームでサービスダウンを喫したトンプソンだったが、直後の第3ゲームですぐさまブレークバックに成功。浅いスライスと深いスライスを織り交ぜながらルードを困惑させ、第6ゲームからは3ゲームを連取する。しかしサービング・フォー・ザ・チャンピオンシップとなった第10ゲームはルードの力強いプレーに押されて取り損ね、勝負の行方はタイブレークへ委ねられる。

ここでは一進一退の攻防が繰り広げられる緊迫の展開となる中、迎えた5ポイント目でトンプソンがルードのダブルフォールトによりミニブレークを先行し、そのリードを守り切って勝負あり。22本中18本のネットプレーを成功させるとともに、計13度のうち11度のブレークポイントをセーブするなど、粘り強く戦い続けたトンプソンが2時間1分で勝利を収めた。

試合後のインタビューでトンプソンは合計のプレータイムが約12時間にも及んだ今大会を振り返りつつ、次のように喜びを語った。

「今週は非常に多くの時間をコートで過ごした。準々決勝なんて0-6、0-6で負けていたかもしれない。でも僕はこうしてトロフィーを掲げている。奇跡だと思う」

だがこの日はこれで終わらなかった。同郷のマックス・パーセル(シングルス41位)とのダブルスでも勝ち進んでいたトンプソンは、同日の準決勝でルード/ウィリアム・ブランバーグ(アメリカ)をストレートで下すと、直後の決勝でもゴンザロ・エスコバル/アレクサンダー・ネドベソフ(エクアドル/カザフスタン)に7-5、7-6(2)で勝利。トリプルヘッダーを戦い抜き、殊勲の単複優勝を成し遂げた。

文●中村光佑

© 日本スポーツ企画出版社