おけいこ.com岡山は、地域と人をつなぎ、豊かな暮らしを目指すコミュニティ。2023年11月に「地域を元気に、暮らしを豊かに」をコンセプトに掲げ、新たなスタートを切りました。
運営者は、岡山県全域で地域を活性化する事業に携わってきた一般社団法人moko’aの代表理事、沖村舞子(おきむら まいこ)さんと、一般社団法人moko’a副代表理事、小林美希(こばやし みき)さん。
「地域に愛着はあるけど、何から始めて良いかわからない」、「スキルはあるけど、役立て方がわからない」という人たちが、地域にはたくさんいます。
その人たちと地域をつなぐコミュニティとして、沖村さんの主導のもとにおけいこ.com岡山は生まれ変わりました。
2024年2月11日(日)には、新しいおけいこ.com岡山がビジョンを共有するイベント「おけいこ.com岡山 お披露目会 つなげるンジャー」が開催されました。
地域に目を向けて活動してきた沖村さんと小林さんから、おけいこ.com岡山が目指す未来の地域社会について教えてもらいましょう。
おけいこ.com岡山とは?
地域と人をつなぎ、豊かな暮らしを目指すコミュニティとはどのようなものなのでしょうか?
おけいこ.com岡山について紹介します。
おけいこ.com岡山の概要
おけいこ.com岡山は、「地域を元気に、暮らしを豊かに」を合言葉に、多様なスキルを持つ人たちが協力しながら、地域の活性化のための事業を進めることを目指すコミュニティです。
「地域のために何かしたい」、「スキルを役立てたい」という人たちが集まり、地域の暮らしを豊かにするために、それぞれのスキルを生かした活動をしています。
また、一人のスキルでは達成できない課題に対しても、メンバーがそれぞれの特性を生かしながら推進するような企画にも挑戦します。
地域に愛着を持つ人たちが、それぞれの個性を生かしながら活躍できるコミュニティが、おけいこ.com岡山です。
おけいこ.com岡山の運営者
おけいこ.com岡山は、岡山県内で地域の活性化に取り組んできた沖村舞子さん、小林美希さんが運営しています。
地域に深く入り込んで活動してきた二人の経歴について紹介します。
おけいこ.com岡山 運営者 沖村舞子さん
おけいこ.com岡山 運営者は、沖村舞子さんです。
沖村さんは、岡山県南部・広島県南東部を中心に、住民主体の地域づくりに取り組んでいる一般社団法人moko’aの代表理事を務めています。
2016年から3年間、浅口市の地域おこし協力隊として活躍。2018年からは、NPO法人みんなの集落研究所の執行役として、岡山県全域の地域社会、集落の課題解決に関わってきました。
地域に目を向けてまちづくりをおこなってきた経験を通じて、地域と人をつなぐ事業であるおけいこ.com岡山を運営しています。
一般社団法人moko’a 副代表理事 小林美希さん
小林美希さんは、「カブで旅するフォトライター」。
小林さんの愛車は、Honda(本田技研工業株式会社)が1958年に発売して以来、人気の絶えることのないオートバイ「スーパーカブ」。愛車で訪れた旅先の風景をInstagramで発信しています。
フォロワー数は1万人を超えており、ライターのほかにSNSの運用サポートや講演をおこなっています。
小林さんも浅口市の地域おこし協力隊として、2017年から3年間活動。沖村さんとともに一般社団法人moko’aを運営しています。
おけいこ.com岡山では、沖村さんの活動を支えながら、地域活動における情報発信のアドバイザーとしての役割も担っています。
「おけいこ.com岡山」と「おけいこ.comコミュニティ」
おけいこ.comコミュニティは、2008年に広島県で女性の起業支援を目的とする団体として発足。結婚や出産により生活環境が変化しやすい女性を対象に、起業の機会を作りたいという想いから始まりました。
その後、岡山県、大分県など、他県にも活動の輪が広がります。
2023年の春頃、女性起業家支援だけでなく幅広く個人で活動する人の支援をひろげていくために、「ひとりでは出来ないことをチームで」というコンセプトのもと、体制の再構築を行いました。
その際に、沖村さんは、チームコミュニティの特徴を生かして、多様なスキルを持つ人と地域をつなげながら、地域を豊かにできると思い立ち、おけいこ.com岡山の運営者に手を挙げます。
2024年1月現在は、広島県のみならず、福島県、三重県など、全6県に活動の輪が広がりました。
「地域を元気に、暮らしを豊かに」というコンセプトを打ち出し、2023年11月に、おけいこ.com岡山は新しくスタートしたのです。
おけいこ.com岡山の活動とメンバー
おけいこ.com岡山でできること
おけいこ.com岡山は、会員制のコミュニティです。
入会したメンバーは、最初に沖村さんと個別で面談して、事業をどのように進めていくかを相談します。
その後は、月1回のオンライン定例会で、参加者と1か月間の振り返りと、次の1か月の目標設定。他のメンバーと、事業についての進捗と目標を共有します。
定例会以外には、決められた役割や仕事はなく、個人の特性や事業に合わせて自由に関われることが、おけいこ.com岡山の特徴です。
その他のおけいこ.com岡山のメンバーになることで受けられるサービスや活動には、以下のようなものがあります。
- おけいこ.comが運営するWebサイトへのイベントや個人の事業の告知
- おけいこ.com岡山やおけいこ.comコミュニティが開催するセミナーへの参加(無料もしくは会員価格での参加が可能)
- 事業を進めるなかで生じた課題に関しての相談
- 他のメンバーとの新規プロジェクトの立ち上げ
- 企業案件などへのチャレンジ
個人で自由に事業を展開していくことも、人とのつながりを広げていけることも可能。必要なコンテンツを利用しながら、個人の裁量で事業を進められます。
月額3300円(税込)で、おけいこ.com岡山のメンバーとして登録できます。
おけいこ.com岡山のメンバー
おけいこ.com岡山で活躍するメンバーの経歴はさまざまで、各メンバーが身につけているスキルも多様です。
ファッションコーディネーターや飲食店経営者、会社員として働きながら休日に地域活動をおこなう人など、ライフスタイルも働き方も異なる人たちがひとつのコミュニティで活動しています。
「地域の問題に興味があるけど、どのようにアプローチすれば良いのか」、「スキルをどのように役立てていけば良いか」など、地域活動を事業として進めるうえでの疑問を、運営者や豊富な経験と多彩なスキルを持っているメンバーたちに相談できます。
一人では困難だった課題でも、チームコミュニティの力を借りることで、解決の糸口を見つけられるかもしれません。
起業の経験にかかわらず参加できることも、おけいこ.com岡山の特徴です。
2024年1月時点では、14人のメンバーが地域での暮らしを豊かにするために活動しています。
おけいこ.com岡山 お披露目会 つなげるンジャー
2024年2月11日(日)に、北長瀬未来ふれあい総合公園にある「みはらしプラザ」で、新しくなったおけいこ.com岡山のビジョンを共有するイベントが開催されました。
イベントの名前は「おけいこ.com岡山 お披露目会 つなげるンジャー」です。
3部構成となっており、以下のセッションに分かれています。
新たなスタートを切ったおけいこ.com岡山のビジョンを確認し、メンバーがお互いの理解を深めることが目的。
事業を始めようと志す人だけでなく、企業や行政の関係者など多くの人が参加し、地域に関わる人たちが手を取り合いながら活動していくための一歩となりました。
新たな想いとともにスタートを果たしたおけいこ.com岡山は、どのような背景があるのでしょうか?
そして、未来への展望についても沖村さんと小林さんに聞いてきました。
沖村舞子さんと小林美希さんにインタビュー
おかいこ.com岡山を運営する、一般社団法人moko’a代表理事 沖村さんと副代表理事 小林さんにおけいこ.com岡山について聞いてきました。
おけいこ.com岡山の理念について、教えてもらいましょう。
おけいこ.com岡山が再スタートした背景
──地域に密着してきた沖村さんが、これまでの活動で感じた課題について教えてください。
沖村(敬称略)──
現状の日本は少子高齢化や人口減少といった問題を抱えており、今後、行政だけでは対応が難しくなっていくでしょう。
そのため、地域住民たちの力だけで、地域の生活が持続するような仕組みが必要となる可能性が高いのですが、地域で共生することの重要性はあまり認識されていません。
一方で、地域のなかにはスキルを持っているにもかかわらず、生かしきれていない人がたくさんいます。
地域で困っている人たちとスキルを持つ人たちを、うまく結びつけられていないことが課題だと感じていました。
──人と地域をつなぐことの重要性に、なぜ気がついたのでしょうか?
沖村──
地域といっても場所によって状況は異なります。例えば、同じ岡山県内でも、瀬戸内海の離島と倉敷市街地では、抱えている問題がまったく違うことは想像できるでしょう。
同じように、スキルに関しても同じことがいえて、同じ業種だったとしても、人によって興味の対象は異なります。
これまで地域に根付いた活動をしてきたからこそ、それぞれの地域に求められるスキルや人材が異なることを実感していたんです。
私は地域に目を向けて活動してきた経験もあり、「あの人だったら、あの場所で活躍できるはず」というイメージがわきます。スキルを持つ人たちに活躍できる場所を提案したいと思うようになりました。
ただ、スキルを持つ人の活躍を想像できたとしても、寄り添いながら事業の支援をすることは、私一人の力ではできません。想いはあるけど形にしきれないことを、もどかしく感じていました。
──どのようにしておけいこ.com岡山を運営するに至ったのでしょうか?
沖村──
おけいこ.com岡山が解散すると耳にしたのは、一人ではやりきれないことにもやもやとしていたときでした。
そこで、おけいこ.comの代表の湊容子(みなと ようこ)さんに、おけいこ.com岡山について、新たに運営者になれませんかと相談を持ちかけたんです。
当時のおけいこ.com岡山は女性起業家向けのコミュニティでしたが、湊さんは地域の文化を大切にしたいという想いを持った人でした。
湊さんは、おけいこ.comはチームコミュニティだと話しています。地域と人をつなぎ、チームとしてプロジェクトを進めながら課題を解決するという考え方に共感し、おけいこ.com岡山を新たにスタートさせることを決めたのです。
おけいこ.com岡山の活動
──メンバーが事業を進めるにあたって、どのような取り組みから始めていますか?
小林(敬称略)──
おけいこ.com岡山のメンバーには、「3年後、5年後、10年後にどのようになっていたいか」を問うワークシートを記入してもらっています。
そのワークシートへの記入内容に基づいて、どんな事業が展開できるかを運営者である沖村さんと一緒に考えるというのが、会員になっておこなう最初の面談です。
「どのようなプロジェクトに参加するのが良いのか」、「その人が活躍できる場所はどこか」を考えるときに、それぞれのメンバーが持っているスキルや価値観を詳しく知っている必要があるでしょう。
お互いの理解を深めるために、将来のビジョンについて共有してもらっています。
──どのようなコミュニティを目指していますか?
沖村──
私たちが目指しているのは、チームコミュニティです。
コミュニティという言葉はよく耳にしますが、いくつかの種類に分けられます。
たとえば、コンテンツコミュニティは、写真や旅行など、共通の興味関心を持つ人たちが集まるコミュニティです。
他にも、芸能人が運営しているオンラインサロンのようなファンコミュニティがあります。これは、運営者の理念に共感した人たちが集まってくるコミュニティです。
おけいこ.com岡山が目指しているコミュニティはチームコミュニティです。
得意分野を持った人たちが集まり、協力しながら大きな企画に取り組んだり、不足している知識や経験を互いに補ったりできます。
一人ではできない課題でも、力を合わせて解決のために挑戦していけるようなチームコミュニティを目指しています。
地域に関わるためのマインド
──メンバーに目指してもらいたい姿はありますか?
沖村──
事業を継続させるためには、起業家としてのマインドを持つことも大切だと思っています。
メンバーには、すでに自分で事業を始めている人だけでなく、会社員として仕事をしながら地域で活動している人もいます。
やりたいことをボランティアとして取り組むことも大切なのですが、時間や経済面を考えると継続することが難しくなるでしょう。
おけいこ.com岡山は、事業を継続するためのスキルやマインドも一緒に身につけていけるコミュニティでもあります。
──起業や事業の継続性の大切さを伝えるために、実施していることはありますか?
沖村──
「一人ひとりが自分らしい選択を」という言葉をメンバーには伝えています。
言われたことだけをやるのはしんどいし、事業が続かないでしょう。自分で選んだことだからこそモチベーションが高まり、継続性も生まれます。
また、チームのなかで活躍するためには、個人が自立していることも重要です。
そのため、おけいこ.com岡山への入会説明会のときには、メンバーに一人でできることは一人でやり、行き詰まったときには相談するように伝えています。
自立して事業に取り組むマインドを身につければ、チームのなかでも活躍できると考えています。
おけいこ.com岡山の今後の展望
──2023年2月11日に開催したイベントはどうでしたか?
沖村──
お披露目会には、学生、企業の担当者や代表、行政関係者などの多くのかたにご参加いただきました。そして、社会課題、地域課題に対して、すでにアクションを起こしているかたもいらっしゃいました。
今回のお披露目会の目的は、新しくなったおけいこ.com岡山のビジョンを共有し、参加者同士のつながりをつくること。
そして、再スタートしたおけいこ.com岡山についてより深く理解してもらい、これから先の展開がイメージできるようなイベントを実現することでした。
お披露目会が終わったあとには、「〇〇さんと繋がれてよかった!」という具体的なメッセージも数多くいただき、お披露目会の目的を達成できたと感じています。
お披露目会で生まれた人とのつながりを、地域の課題解決に向けて行動するためのきっかけにしてもらえると嬉しいです。
改めて、お披露目会にご参加いただいたかたへ、感謝の気持ちをお伝えします。本当にありがとうございました。
──今後、おけいこ.com岡山の活動をどのように展開していきますか?
沖村──
世代にかかわらず地域で活動したいという人は、意外とたくさんいます。
地域に愛着を持つ人たちの想いを掘り起こして、人のつながりの輪を広げていくことが目標です。
そのために、おけいこ.com岡山のメンバーたちと事業を進めて、チームで具体的な実績を残していきたいと考えています。
今回のお披露目会が新たな事業を立ち上げるための起点になると期待しています。
おわりに
岡山県全域で地域に深く入り込んで活動してきた沖村さんは、さまざまな場所の地域社会の特徴と課題を把握しています。豊富な経験があるからこそ、スキルを使ってどのように事業を展開していけば良いのかがイメージできるのでしょう。
地域と人がうまくマッチングしたときには、地域で暮らす人も、事業を運営する人も、充実した生活を送れそうです。
おけいこ.com岡山が地域と人との架け橋となり、地域で活躍する新たな担い手が育っていくことが想像できます。今後の展開に、目が離せなくなりそうです。