いつ来てもおかしくない「株価の大暴落」…ピンチをチャンスに変える〈買い〉のコツと〈動じないメンタル〉の手に入れ方【資産1億円超えの兼業投資家が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

株式市場全体の株価が大きく下がったときはピンチでもありますが、逆に「買い」のチャンスと捉えることもできます。いずれにしても株式の売買には冷静な判断力が必要不可欠です。そこで本記事では、『月41万円の“不労所得”をもらう億リーマンが教える 「爆配当」株投資』(KADOKAWA)から、著者の〈なのなの氏〉が暴落時の対処方法を詳しく解説します。

ピンチかチャンスか…「株価急落時」の対処方法

「バリュー投資の父」「ウォール・ストリートの最長老」と呼ばれる投資家ベンジャミン・グレアムは、以下のような言葉を残しています。ここからは、株価が大きく下がったときの『買い』のコツとメンタルを守るための対処法についてお話ししていきます。

「賢明な投資家というのは、楽観的な人間に株を売りつけ、悲観的な人間から株を買い取るリアリストのことだ」(ベンジャミン・グレアム)

(1)市場急落時の「買い」の判断は「信用評価損益率」を参考に

全体的に株価が大きく下げたときは、精神的なダメージもありますが、同時に株購入のチャンスでもあります。株式市場には数年に一度、必ず大暴落と言っていいほどの大きな下げがきます。

2000年以降でも、ITバブル崩壊(2000年)、アメリカ同時多発テロ(2001年)、ライブドアショック(2006年)、リーマンショック(2008年)、東日本大震災(2011年)、チャイナショック(2015年)、コロナショック(2020年)など数々の局面において株価は大きく下げました。

[図表1]に示す通り、2001年1月~2023年8月の期間中、日経平均の下げが5%を超えていた日は29日もありました。

[図表1]日経平均下落率ランキング(2001年以降)

このように市場全体が大きく下げたときは、業績好調かつ、景気の影響をあまり受けない銘柄の買いを狙いたいところです。

市場全体が急落したときの買いの目途は、信用評価損益率(※)を参考にするとよいでしょう。

(※)信用取引で株式の売買をしている投資家が買い建てた銘柄の含み損益の割合。

一般的に個人投資家は利益が出ると早々に利益を確定させ、損失が出るとそのまま塩漬けすることが多いため、信用評価損益は通常、だいたい0%~▼20%あたりを動いています。

市場の下げにより信用評価損益が▼15%を下回ってくると、追加証拠金(※)が発生する個人投資家も多く出てくるようになります。

(※)委託保証金を追加で差し入れなければならない状態のこと。

さらに、信用評価損益率が▼20%を下回ると、フルレバレッジで信用買いをしている投資家の多くは保有株式を投げ売りせざるを得ない状況になっています。このくらいのときは、株価の底入れが近づいており、買いのチャンスとも言えます。

信用評価損益率が▼15%を下回る水準で買いの準備をはじめ、▼20%を下回るタイミングで、精神的な余裕を持ちつつ、少しずつ逆張りで買いを入れてもよいでしょう。

なお、[図表2]で示すように、信用評価損益率は松井証券のサイトから確認することができます。

[図表2]信用評価損益率の確認画面 松井証券HPより引用(https://www.matsui.co.jp/market/stock/netstock-info/

暴落の中でも精神的ダメージを抑えるコツ

ただ、実際問題としては、全体が暴落している中で株を買うことはなかなか勇気のいることでもあります。

また、株価暴落によって含み益が急速に失われたり、損失が急拡大したときの精神的ダメージは非常に大きく、食事が喉を通らなくなったり、仕事が手につかなくなったりと、日常生活に支障が生じてくることもあります。

そのような暴落時にも精神の安定性を保ち、冷静な投資判断ができるようにするため、特に高配当株を中心に投資をしている方には、自身のポートフォリオ価値評価の軸を保有資産総額ではなく、配当金総額に置くことをお勧めします。

ポートフォリオ価値評価を「配当金総額」にすればメンタルダメージ減!

例えば、配当利回り4%の株式を1,000万円分保有していたとします(年間の配当金は40万円)。ある日、市場全体の暴落により、株式の評価額が800万円に下がったとします。

しかし、この場合であっても、1年間にもらえる配当金は40万円と変わることはありません(配当利回りは5%にアップします)。

もちろん、その後業績悪化により配当金が減る可能性はあります。しかし、減配実績の少ない、安定した業績の高配当株を中心に買っていれば、そこまで大きく配当金総額が減るということはないと思われます。

ポートフォリオ価値評価の軸を保有資産総額としたときは、

  • 保有資産総額20%減→精神的ダメージ大

となるところ、ポートフォリオ価値評価の軸を配当金総額とすることにより、

  • 配当金総額変わらず→精神的ダメージほとんどなし

とすることができるのです。

この評価軸の考え方を取り入れておけば、大暴落時など市場が混乱しているときでも冷静に売買の判断をすることができるようになります。

実際コロナショックのとき、私はこの考え方により連日大暴落が続く中、実ビジネスへの影響がそれほど大きくなさそうな高配当株やREITを毎日少しずつ買い、結果として大きく利益を上げることができました。

期待値の高い投資をするためには、いついかなるときでも精神状態を安定させることが必要となります。市場の動きに翻弄されず、常に安定した精神状態を保っておくためにも、配当金総額によりポートフォリオ価値を評価することをお勧めします。

なのなの

サラリーマン兼業投資家

※本記事は『月41万円の“不労所得”をもらう億リーマンが教える 「爆配当」株投資』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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