申告漏れや延滞によるペナルティも…〈副業〉〈フリーランス〉で稼ぐなら必ず知っておきたい「確定申告」と「税金」のハナシ

(※写真はイメージです/PIXTA)

SNSを使ってビジネスを行っている人をサポートする副業を指す「SNSサポート副業」。副業をするにあたって、必ず押さえておきたいのが税金についてです。所得税の支払いや確定申告といった基本知識を見ていきましょう。多数のWebサイト制作を手掛けてきた起業家の土岐あい氏の著書『SNSサポート副業』(大和出版)より、詳しく解説します。

知らないと損…確定申告の超基本

副業やフリーランスで働く人々にとって、税金の知識は非常に重要です。知らないと損をするかもしれない税金に関連するポイントをお伝えします。

確定申告は、1年間の収入と支出を報告し、所得税を計算・納付するプロセスです。副業やフリーランスの収入がある場合、確定申告は必須となります。

日本の場合、確定申告の期間は通常2月16日から3月15日までとされていますが、年によって異なる場合もあります。会社員などの給与をもらっている人は、会社で年末調整をしてくれるのですが、会社ではなく個人で仕事をする場合には自分で税を申告する必要があるのです。

とはいえ、会社員や公務員の方にはあまり馴染みのない「税金」。わからないことだらけですよね? みなさんが疑問に思うことについてお伝えしますね。

Q1.所得税ってどれくらい払うの?

SNSサポート副業で仕事をして収入を得てみたものの、どれぐらい税金を払わなくてはいけないのか不安になりませんか?

確定申告をして所得税の計算をするわけですが、その前にいくら稼いだら、いくらぐらい税金を払うことになるのか知っておきましょう。

まず、税金は「課税所得」に対してかかります。

課税所得とは1年間のすべての収入から、経費や所得控除などを差し引くことで計算できます。さらに、課税所得に所定の税率を適用することで、所得税の金額を計算することが可能です。課税所得に対する所得税の金額は、次の「所得税の速算表」を使用すると簡単に求められます(参照:国税庁ホームページNo.2260所得税の税率より)。

【図表】所得税の速算表 出所:『確実に月10万稼げる「令和の内職」 SNSサポート副業』(大和出版)より引用

Q2.確定申告をしないとどうなるの?

原則として3月15日の確定申告期限までに申告や納税をしないと延滞税や無申告加算税などの申告漏れによるペナルティが課されることがあります。罰金や追徴課税、さらには刑事罰が科せられることもありますので注意が必要です。

1.無申告加算税

無申告加算税は確定申告書を3月15日までに提出しなかった場合、納付すべき本税に加えて課される罰金的なものです。

無申告加算税は、次の割合を納付税額にかけた金額になります。

●納付税額が50万円まで 15%

●納付税額が50万円超300万円以下 20%

●納付税額が300万円超 30%(納税者の責めに帰すべき事由がない場合、300万円超の判定にあたっては除外[令和5年度改正])

●税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合 5%

申告期限から1ヵ月以内に自主的に納付した場合には無申告加算税は課せられませんので、確定申告を忘れた場合もなるべく早く申告をするようにしましょう。(参照:国税庁ホームページ「確定申告を忘れたとき」)

2.延滞税

確定申告の期限である3月15日は、支払うべき税金を納める期限でもあります。この期限までに完納しない場合に課せられる罰則的税金が延滞税です。

原則として、延滞税は法定納期限の翌日から納付するまでの日数に課されます。延滞税は納税者自らが計算する必要はなく国が計算しますので、計算された金額をすみやかに支払うことが必要です。延滞税の税率は、納期限の翌日から2か月を経過する日までについて、年分ごとに異なりますが、たとえば令和4年分は年2.4%です。

3.延滞税の税率[令和3年1月1日以後の期間に対応する延滞税の割合]

①納期限までの期間及び納期限の翌日から2か月を経過する日までの期間については、年「7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合

②納期限の翌日から2か月を経過する日の翌日以後については、年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合(参照:国税庁ホームページ「延滞税の計算方法」)

故意に脱税をした場合に「5年以下の懲役もしくは最大500万円以下の罰金、または、その両方」が課されることもありますので、知らなかったでは済まされません。仕事をして収入を得たら、かならず確定申告をするようにしましょうね。

Q3.「白色申告」と「青色申告」って何?

確定申告には白色申告と青色申告の2種類があります。青色申告するには事前に税務署への届出が必要になるため、手続きをしていない場合は自動的に白色申告となります。

簡単にいうと、白色申告は手続きが簡単ですが、控除額が少ないので税金が高くなります。青色申告は、手続きが複雑で適切な帳簿の提出が必要ですが、控除額が大きく節税効果があります。

副業やフリーランスで得る収入が少ないうちは、白色申告でも良いと思いますが、収入が増えてきたら青色申告にしたほうがメリットがたくさんあります。

●青色申告のメリット

1.最大65万円の特別控除が受けられる。

青色申告には税負担を軽減する特別控除が設けられており、最大で65万円を所得から控除することが可能です。

もし収入が同じだった場合、青色申告を利用することで税対象となる所得が65万円減少し、それに伴って納税額も減少し、利益を享受することができます。ただし、e-Taxを利用した申告(電子申告)や電子帳簿保存を行わない場合には、最大で55万円の控除に限定されます。

2.赤字を繰り越しできる

青色申告を選択すると赤字の繰り越しができます。

これは、たとえば前年に100万円の赤字があり、翌年に200万円の利益を上げた際、白色申告では200万円の利益に対する税金を支払わなければならないのに対して、青色申告では200万円の利益から前年の赤字100万円を差し引いた100万円分の税金だけを支払えば良くなる、というメリットがあります。この赤字の繰り越しは3年間可能です。

3.家族への給料を経費にできる

青色申告にはいろいろな利点がありますが、特に注目すべき点は「専従者の給与を経費として計上できる」という特典です。

専従者とは、簡単に言うと、あなたの仕事を支援してくれる(主に従事している)家族のことを指します。家族に給与を支払い、それを経費として計上することで税金の節約が可能になります。

4.30万円未満の固定資産は一括で経費計上できる

白色申告では、仕事用のパソコンや車など10万円以上の固定資産については、利用可能な期間に基づいて減価償却を適用する必要があり、購入から経費として完全に計上するまでにはかなりの時間がかかります。

しかし、青色申告を選択すると、30万円未満のアイテムは一括で全額経費として計上できるので、これにより税金の節約が可能となります。

5.家賃や水道光熱費なども経費にできる

副業・フリーランスの人の中には、自宅を事務所としても利用しているケースが多いでしょう。青色申告を選ぶと、そうした場合に家賃や電気代、インターネット料金などが経費として計上できます。

ただし、自宅は生活空間としても使っているため、家賃の全額を経費とすることはできません。しかし、事業に使っている部分に応じて家賃を経費とすることができるので、適切な割合で計上することが可能です。

この方法で日々の固定費の一部を経費として計上することにより、節税のメリットを享受できます。白色申告の場合、事業利用の割合が50%以上でないと経費として認められません。

Q4.どこまでが「経費」として認められる?

経費とは、事業を運営する上で発生した費用のことです。SNSサポート副業ならば、仕事に使うパソコンや事務用品、名刺やホームページの作成料金、ツールやソフトウェアの代金、インターネットなどの通信費、仕事で使った交通費や、交際費、会議室の費用などが経費になります。

また、副業やフリーランスを始めるにあたって、学んだ教材やスクールの授業料なども経費にできる可能性がありますので、しっかり申告するようにしましょう。もちろんこの書籍も経費にできます。

Q5.助成金や補助金ってもらえるの?

副業やフリーランスで新たに仕事をはじめる際に、助成金や給付金を受け取れる可能性があります。

ではどのように助成金や補助金を受け取ることができるのか、流れをお伝えしますね。

1.情報収集
まず、助成金や給付金の情報を収集することが重要です。国、地方自治体、産業団体などの公式ウェブサイトや、専門の助成金情報提供サービスを利用して情報を収集しましょう。

2.資格確認
それぞれの助成金や給付金には、申請資格が定められています。資格要件を確認し、自分が申請可能かどうかを確かめましょう。

3.申請準備
必要書類の準備や、申請に必要な情報の収集を行います。また、助成金の場合は事業計画書を作成することも求められることがあります。

4.申請手続き
申請フォームを記入し、必要書類を提出します。オンラインでの申請が可能な場合もあります。

5.審査および承認
申請書類の審査が行われ、承認されれば助成金や給付金が支給されます。

助成金や給付金は返済義務がないことが魅力的ですが、申請には成功の保証がなく、申請が承認されるまでには多くの時間と労力が要求されるのが通常です。どの種類の給付金や補助金があるのかを調査するだけでも時間がかかり、申請の準備や書類作成にもさらに時間が必要となります。

申請して通らなかった場合、労力が無駄になってしまいますので、最初にその補助金や給付金が自分の状況に適しているか確認することが重要です。

また、補助金や給付金の申請手続きを成果報酬制で代行する業者もいるので、それを利用するのも1つの選択肢です。費用はかかりますが、自分で準備するのに比べて時間を節約できるため、書類作成が得意でない方にとっては考慮する価値があります。

さらに、もし税理士に確定申告などで依頼しているのであれば、給付金や補助金に関してアドバイスを求めるのも良いでしょう。

土岐 あい
チームビジネスプロデューサー

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