【クレカ滞納が及ぼす影響】クレジットカードを「1回だけ」滞納したせいか、「住宅ローン審査」に時間がかかっています。たった1回でも不利になってしまうのでしょうか?

住宅ローンの審査ではどんなところを見られる?

住宅ローンの審査は誰でも絶対に通るわけではありません。ローンを組むということは、お金を借りることと同義です。そのため、お金を借りるときのように、一定の審査が入ります。

具体的な審査の内容などは、申し込みを行う金融機関によって異なる部分でもありますが、傾向としてはある程度共通しているようです。参考までに、令和4年度の国土交通省の「令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」によれば、9割以上の金融機関が、下記の項目を審査項目として挙げています。

__●完済時の年齢
●健康状態
●借入時の年齢
●購入する不動産の担保評価
●勤続年数
●連帯保証について
●返済負担率
●年収
●金融機関の営業エリア
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つまり上記のような項目が、住宅ローンを審査する多くの金融機関にとって、非常に重要であるということです。それらに「健康状態が悪い」などマイナス要素があると、一気に住宅ローンの審査が不利になってしまう、というわけです。

クレジットカードの滞納履歴も、ローン審査に影響を及ぼす

住宅ローンの審査において、見落としがされがちな点として、クレジットカードの利用履歴があります。

キャッシュレス決済の普及も伴い、今や大学生から高齢者まで、クレジットカードを利用していても珍しくはありません。先述した国土交通省の統計によれば、実際に65.1%の金融機関が「カードローン等の他の債務の状況や返済履歴」を審査項目として挙げています。

たった1回、それがたとえ1円の滞納履歴であっても、過去に滞納したことがあると、金額の大きな住宅ローンにおいてはなおさら「返済を滞納してしまうのではないか」と不信感を与えてしまう可能性があります。
そのため「クレジットカードの滞納履歴は、たとえ1回であっても住宅ローン審査に影響する可能性がある」と考えるべきでしょう。

なぜ金融機関はクレジットカードの滞納を知っている?

たった一度クレジットカードを滞納したことが、なぜ金融機関に知られているのかというと、そこには「信用情報機関」の存在があります。

信用情報機関とは、ローンやクレジットカードの利用履歴をはじめとした、お金周りにおける個人の信用に関する情報を収集・管理し、健全な信用取引を支える機関です。

信用情報機関が存在することで、過去の履歴を見た金融機関が「この人は過去にクレジットカードで毎月20万円使っているが、それを滞りなく支払っている。だから2000万円の住宅ローンも、しっかり返済できるはずだ」と、判断材料の一つとして用いて、住宅ローンが組めるようになるのです。

「クレジットカードの利用履歴を収集する」と聞けば、「信用情報機関が怖い」と思う人もいるかもしれません。しかし住宅ローンは1000万円や2000万円、場合によっては3000万円を超える金額で組むことになるため、信用情報機関の提供する信用情報は、重要な役割を果たしているのです。

なお一般的に、5年程度は信用情報機関に滞納の履歴が残るといわれています。クレジットカードの滞納が原因と思われる場合、5年経過後に再度申し込みをしてみると、他の事情次第ではありますが、審査に通る可能性があります。

まとめ

クレジットカードの滞納履歴はたとえ1回、それが1円であっても信用情報機関に記録され、それが原因でローン審査に影響する恐れがあります。

住宅ローンの審査はさまざまな事項が影響します。住宅ローンの審査を受ける際は、それについて知っておき、金融機関の担当者に正直に事情を話し、相談しながら進めていくことをおすすめします。

出典

国土交通省 令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書 令和5年3月

執筆者:柘植輝
行政書士

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