人気集める出張シェフ、杭州では月収100万円の人も―中国

中国で出張シェフが人気を集めている。

春節(旧正月、今年は2月10日)期間は家族や友人と集まることが多くなる。そんな時に、自宅で食事を作って食べたり、レストランに行ったりする人も多いが、最近は出張シェフを呼んで自宅のキッチンをフル活用してもらうという人も増えている。

今年の春節期間中、夜になり多くの人が自宅でにぎやかな一家だんらんを楽しんでいる時、浙江省杭州市の男性・丁堯さん率いるシェフチームは、コックコートを着て、食材や調理道具を車いっぱいに積み込み、客の家に向かう準備をしていた。

丁さんによると、春節期間中は毎日予約でいっぱいだったといい、その予約は3月まで埋まっている状態。特に春節期間中は出張サービスを利用する人がますます増えているという。丁さん率いるシェフチームは1日平均5~6件の出張サービスをこなすことができるが、大みそかの9日にはなんと1日に9件、そして最も多い日で11件もこなしたという。

ネット上で検索のトレンド入りしていることについて、丁さんは「こんなにもたくさんの人に注目されるなんて予想外」と驚きを隠さない。月収5万元(約100万円)という情報について、丁さんは「春節前になると注文が殺到するので、その月の収入は1年で最も多くなる。でも、春節が終わると、普段のペースに戻り、1日平均3~4件の出張になる」と説明する。

出張料理には主に2つのスタイルがある。1つは、メニューを決めてシェフが必要な食材や調味料などのリストを準備し、客がリストに基づいてそれらを購入し、シェフは約束の時間に客の家に行くと、食材を洗い、調理して提供するスタイルだ。もう一つは食材や調味料の購入から自宅での調理、盛り付けなど、全てをシェフが一手に引き受けるスタイルだ。

今最も人気があるのは便利で楽な2つ目のスタイルだという。自宅での料理は通常、メニューの内容やどれほど手がかかるかなどに基づいて800~1200元(約1万6000~2万4000円)の料金を徴収しているという。

昨年4月、丁さんはSNSに出張料理の料金について、食材から調理まで全て含めてトータル8人前2000元(約4万円)と投稿した。料理の内容は冷たい料理5品、温かい料理11品、そしてスープと主食だ。そのメニューにはあわびと豚バラの角煮や、ロブスター、アメリカイチョウガニなども含まれている 豪華な食材にこだわらない限り、2000元で十分おいしい料理を堪能できるため、多くのネットユーザーから「このメニューでこの料金なら、もうレストランには行かなくてもいいかも」といった声が寄せられた。

2022年末に、丁さんは偶然出張シェフについて知り、「これはいける」と直感。高校と短大で料理を専攻していたほか、調理師の資格も持っていたため、思い切って出張シェフに転職した。そしてこれまでは月に最低7000元(約14万円)ほど稼いでいたが、今では最高で1カ月に5万元(約100万円)以上稼ぐまでになるという収入面でも劇的な変化を手にした。

丁さんによると、出張シェフにはより高い料理の出来栄えや調理方法のレベルが求められるという。そして、簡単な家庭料理だけでなく、注文に応じて、西洋料理や日本料理、広東料理、スイーツなども作ることになる。

丁さんは昨年から、いろんなプラットフォームのアカウントを開設し、出張シェフに関する投稿をするようになり、たくさんのフォロワーも集まった。そして、杭州周辺だけでなく、同じ浙江省の寧波市や江蘇省揚州市にまで出張に出向くこともあるという。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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