税金を吸っているようなもんよ…妻の捨て台詞に<愛煙家の40代夫>耳にタコができるも「1年の税負担額」に驚愕

相次ぐ値上げで随分と高くなったうえ、「こんなところで吸うなよ」と白い目でみられることもしばしば。愛煙家には厳しい世の中ですが、さらに「たばこに課されている税金」を計算していくと、思わず声を挙げてしまうほどの結果に。みていきましょう。

たばこにかかる「税金」はとにかく高い!

冬の寒空の下、バルコニーで一服する40代のサラリーマン。今日、1日を振り返りながら「この一本が美味しいんだよなあ」と吸うたばこがたまらないといいます。

そんな夫に妻がひと言。

――そんなところで吸うくらいなら、たばこ、やめたら?

――簡単にやめられねーよ

――それって、税金を吸っているようなもんよ

――だから、簡単にやめられねって

――健康にも悪いし、良いことないじゃない

きっと喫煙家であれば、そんなセリフを耳がタコになるほど聞いたことがあるでしょう。実際にたばこにはどれほどの税金が課されているのでしょうか。

たばこの価格には、国たばこ税、地方たばこ税、たばこ特別税、消費税の4種類が含まれ、一般的な紙巻きたばこで、税負担は6割にも達します。たとえば1箱580円のメビウス。国たばこ税が136.04円で価格の23.5%、地方たばこ税が152.44円で全体の26.3%、たばこ特別税が16.4円で全体の2.8%、消費税が52.72円で全体の9.1%。1箱580円のうち税金が357.6円で、全体の61.7%にも達します。確かに煙草を吸うことは「税金を吸っているようなもの」といえるでしょう。

消費税を除いた個別物品税は、たばこの場合52.6%。ビールであれば33.4%、ウイスキーであれば19.7%と、他の嗜好品と比べても飛び抜けています。

厚生労働省『令和元年国民健康・栄養調査報告』で喫煙の状況をみていくと、喫煙者は24.5%。「以前は吸っていたが1ヵ月以上吸っていない」を除くと16.7%と、今や喫煙者はかなりの少数派。昨今、吸えるところがどんどんなくなり、肩身の狭さを感じている喫煙者も多いと思いますが、喫煙者率をみると、仕方がないことかもしれません。

喫煙者に「1日何本吸っていますか?」と尋ねてみると、平均は15.5本。仮に1箱20本入りで580円の煙草を吸っているとしたら、1日286.08円の税金を払っていることになります。1ヵ月30日で8,582.4円、1年365日で10万4,419.2円……。

――そんなに税金を払っているんだ!

仮に20歳から煙草を吸いはじめ、定年までの60歳になるまでたばこを吸い続けたら……少々、眩暈を起こしそうなほどの税負担です。老度を見据えて自助努力がいわれているなか、禁煙すれば、それだけ資産形成を進めることができます。

国も喫煙率低下に躍起になっている

2007年策定の「がん対策推進基本計画」では、たばこ対策ががんの予防のための重要な施策として位置づけられました。また2012年策定の第2期「がん対策推進基本計画」では2022年度までに成人喫煙率を12%とすることが目標となり、2018年3月に作成された第3期「がん対策推進基本計画」でも同じ目標が掲げられています。

少子高齢化が進むなか、医療費の増加は避けたいところ。国としても喫煙率を低下させて、医療費削減に努めたい、といったところなのでしょう。

厚生労働省によると、喫煙との因果関係が明らかになっているがんには、肺がん、口腔・咽頭がん、喉頭がん、鼻腔・副鼻腔がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、子宮頸がん、膀胱がんがあります。

また最近、加熱式たばこ派の愛煙家が増えていますが、その煙に含まれる発がん性物質については、紙巻たばこよりも少ないという報告があります。一方で、紙巻たばこには含まれない有害化学物質や、紙巻たばこよりも多く含む物質もあるとか。

いまさらですが、禁煙できれば、お財布にも健康にも良いことは明確。まずは本数を減らすことからはじめてはいかがでしょか。

[参考資料]

JT『たばこ税の仕組み』

厚生労働省『令和元年国民健康・栄養調査報告』

厚生労働省/e-ヘルスネット『喫煙とがん』

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