通信障害発生で分かった「固定電話とFAX」使えなくて困る人多数 会社でいまだに「現役」であり続けるわけ

通信障害で電話・FAX が使えないといった書き込みが、2024年2月26日午前から昼過ぎにかけて、X(ツイッター)を中心に多くみられた。

NTT東日本に取材すると、広報部は「当社で障害は発生していない」と回答。その後、IP電話サービスを提供する企業が通信障害発生を発表した。Xに投稿した個人、企業はこのサービスを利用していたのかもしれない。これら投稿で目立ったのは、固定電話やFAXが使えなくなって困るとのものだった。

スマホアプリに拒否反応

1人1台スマートフォン(スマホ)を持つのが当たり前と言える時代だ。勤務先から「社用携帯」が貸与されている場合もある。それでも、今回の通信障害騒ぎでは、業務で今も固定電話やFAXを日常的に使用している実態が分かった。日本はまだまだ、ビジネス上で現役のツールなのだ。

一方、特にFAXは、海外から見ると「今も使っているのか」と驚かれるという話がある。

ITジャーナリストの井上トシユキ氏に取材した。日本企業の通信手段の実態について、2021年に自ら調査したという。対象としたのは中小企業サイズで、その会社はもちろん、取引先からどのような手段で連絡を要求されるかを聞いた。すると、「役所や財団法人といった公的団体ですと、FAXでの連絡が必須だったという例が、それなりにありました」。

同社は、取引先も中小零細企業規模だった。家族経営であることが多く、社長や副社長が60歳を超える年配の夫婦という例が少なくない。

「その世代の男女が若いころに使っていたデバイスは、固定電話とFAX。メールにはギリギリついていけても、スマホのアプリとなると拒否反応を示す人は多い。結果、連絡手段としてFAXを要求されることが多々ありました」

「固定電話からのほうが、信頼できる」

加えて、井上氏は年配の世代が固定電話に抱く「信仰」のようなものにも言及した。

「『携帯電話からよりも固定電話からのほうが、信頼できる』という信念を抱いている人が、少なからずいるように感じました。出先から取引先に携帯電話で電話すると、『御社の固定電話からお掛け直しください』と要求された例に、複数遭遇しました」

(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)

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