「俺たちは本当の王者ではなかった」ウォリアーズのグリーンの“お気に入りの優勝”は2022年「『どうやって勝った?』って感じ」<DUNKSHOOT>

2012年のドラフト2巡目全体35位でゴールデンステイト・ウォリアーズから指名されたドレイモンド・グリーンは、ローテーションプレーヤーからNBAキャリアをスタートし、3年目の2014-15シーズンに先発に定着した。

198cm・104kgと、フロントコートの選手として上背こそないものの、強靭な肉体と軽快なフットワークを兼備。抜群のバスケットボールIQを駆使して相手をガードしつつ、オフェンスではステフィン・カリー、クレイ・トンプソンという驚異的なシュート力を誇るチームメイトの得点機会を見事に演出し、ウォリアーズに不可欠な選手となった。

グリーンが先発の座を掴んだ2014-15シーズンにスティーブ・カーがHC(ヘッドコーチ)就任すると、チームは2015、17、18、22年と4度の優勝を達成。2015~19年まで5シーズン連続でウエスタン・カンファレンスを制してNBAファイナルまで勝ち上がるなど、無類の強さを発揮した。

その期間、グリーンはプレーメーキングをこなしつつ、ディフェンシブ・アンカーとなり、絶妙なタイミングで入るカバーディフェンスなどでリーグ有数のディフェンダーとしての地位を確立。
現地時間2月22日(日本時間23日、日付は以下同)、グリーンはポッドキャスト番組『Club 520 Podcast』に出演し、2021-22シーズンのタイトル獲得について「2022(年)は俺が在籍してきたチャンピオンシップチームと比較してみても、本当のチャンピオンシップチームではなかった」と明かしていた。

「どのシリーズを終えた後も、俺とステフは会見で笑いながら『なぁ、俺たちはどうやってシリーズに勝てているんだ?』って感じだった。俺たちは本当に笑いながら『面白いことだ』と思っていたのさ」

2021-22シーズンのウォリアーズは、2022年1月にトンプソンが相次ぐ大ケガから待望の復帰を飾るも、カリーがケガのためレギュラーシーズン最後の1か月間を欠場。2019年以来3シーズンぶりとなった2022年のプレーオフ、エースはデンバー・ナゲッツとのファーストラウンド初戦で復帰したもののベンチスタートと、先行き不透明な幕開けとなった。
だがジョーダン・プール(現ワシントン・ウィザーズ)の成長、そして復帰したカリーもいきなり存在感を示し、1回戦でナゲッツを4勝1敗、カンファレンス・セミファイナルはメンフィス・グリズリーズを4勝2敗、カンファレンス・ファイナルではダラス・マーベリックスを4勝1敗で破ってファイナルへ進出。

頂上決戦ではジェイソン・テイタム、ジェイレン・ブラウンらを擁するボストン・セルティックス相手に3試合を終えて1勝2敗と負け越していたが、第4戦から3連勝を飾って6戦(4勝2敗)でシリーズを制し、球団史上7度目の優勝を飾った。

ファイナルMVPに初選出されたカリーは、シリーズ平均31.2点、6.0リバウンド、5.0アシスト、2.0スティールと圧巻のパフォーマンス。「ステフが新たなレベルへ達したんだ。『僕はGOAT(史上最高の選手)のひとりなんだ』って感じでね。で、俺たちを牽引してくれた。タフな戦いだったよ」とグリーンは当時を回想した。

もっとも、そのグリーンはシリーズ平均36.2分、6.2点、8.0リバウンド、6.2アシスト、1.7スティールこそ残すも、3試合で6ファウルを犯し退場。フィールドゴール成功率33.3%、3ポイント成功率12.5%とシュートタッチにも苦しんだ。
それでも、第4戦で9リバウンド、8アシスト、4スティール、第6戦では12得点、12リバウンド、8アシスト、2スティール、2ブロックとマルチに活躍。

「俺たちは下馬評で優勢ではなかった。誰もが俺たちのことを小さすぎと評し、ボストンは大きくてアスレティックだったから、俺たちに勝ち目はないと見られていた。それでも俺たちはやってのけたのさ」(グリーン)

2015、17、18年は絶対的な本命と目されていたなかでの優勝だった。だからこそ、決して前評判が高くなかった2022年のリーグ制覇が、グリーンの心に深く刻まれているのだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

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