ゴミを荒らしたり、農作物をたべてしまったりなど、各地で厄介者とされるカラス。
カラス被害に科学の力で対抗しようと米子高専の学生たちが、カラス撃退ドローンの開発を進めています。ドローンがカラスを自動追跡、そして水鉄砲を発射!地元の役に立とうと高専生が奮闘しています。
飛び回る無数のカラス1匹1匹をコンピューターがリアルタイムで認識し、必死に追いかけ回しています。まるでシューティングゲームのような映像。
これ、米子高専の学生たちによるドローン撮影の映像です。一体何をしているのかというと…
米子高専専攻科1年 矢田ほのかさん
「カラスの被害があるという話でいま実証地として、この場所を貸していただいています」
目的は、カラスによる食害という地域課題の解決です。
撮影を行っているのは鳥取県境港市内。
ここは畑の農作物などを目当てにしているカラスのたまり場となっていて、食害が後を絶ちません。
こうした被害などを防ごうと、米子高専は数年前からドローンにカメラを付けてカラスを認識し、自動で特定の場所からカラスを追い払う「カラス撃退ドローン」の開発を進めてきました。
このドローン、賢いカラスに対応するため、日々アップグレードを続けています。今取り組んでいるのが…
米子高専5年 伊藤治彦さん
「いまこれは『水鉄砲』を取り付けているところです」
開発を進めているのが、水鉄砲付きカラス撃退ドローンです。
賢いカラスたち。ドローンに追いかけられるという行動に慣れてしまい、追い回すだけでは逃げなくなってしまうことも懸念されています。
更なる対策として考えたのが水鉄砲でした。
設定した距離よりもカラスがドローンに近づいても逃げない場合は、自動でカラスに水鉄砲を発射するというシステムのプログラム開発をしています。
米子高専総合工学科 田中博美 教授
「自動追跡するドローンに慣れてきたカラスが出てきた場合に備えて、カラスを認識して、ある程度ドローンに近づいてきたカラスに対して、放水するというシステムを作っています」
23日、実際に屋内の安全な場所で、カラスの模型を使って水鉄砲が正常に作動するかどうかの実証実験を行いました。
しかし、トラブルが発生しました。
米子高専専攻科1年 矢田ほのかさん
「システムがちゃんと上手く動いていないという状態で…」
発射の状況を確認しやすくするため水鉄砲の中の液体を色付きのコーヒーにしたところ、発射口付近に詰まってしまったのが原因ではないかということです。
しかし実験に失敗はつきもの。
翌日、再チャレンジすると…水鉄砲は見事、発射成功。液体を墨汁を水で薄めたものにしたところ、正常に発射することができました。
米子高専専攻科1年 矢田ほのかさん
「とりあえず無事離陸して、ちゃんと放水が同時にできたのでそれは良かったです」
このカラス撃退ドローンは、3月1日、東京で開催される地域に根付く新たなサービスの創出を目的とした「高専ワイヤレステックコンテスト」の本選大会でお披露目する予定です。
米子高専専攻科1年 矢田ほのかさん
「テーマ自体は結構いいと思っています。優勝目指して頑張っていきたいです」
まもなく繁殖期を迎え活動が活発になるカラス。高専生たちの技術は地元の被害を食い止める救世主となれるでしょうか。