神戸市が自衛隊の要請で市民の個人情報を提供したのはプライバシー権の侵害に当たるとして、市民らが26日、久元喜造市長に対し、提供のために使った公金の返還を求める住民訴訟を神戸地裁に起こした。
原告は市内在住の50~70代の男女6人。訴状によると、市は2020年に自衛隊と情報提供に関する覚書を締結後、自衛官募集対象の18歳と22歳の約2万数千人分の氏名や住所、生年月日、性別を電子データで提供した。原告らはこの行為を巡り、昨年12月に住民監査請求を行ったが、市監査委員は却下したという。
市側は提供の根拠として、防衛大臣が必要と判断した場合、市町村長らに資料の提出を要請できるとの自衛隊法施行令を挙げているといい、原告らは「法律上の根拠が曖昧で情報の範囲が広がる可能性がある」などと訴えている。
市の担当者は「訴状が届き次第、内容を精査し適切に対応する」とした。