新たな世界いざなう「古本」 横浜・白楽のツイードブックス、開業10周年

店内奥で古本に目を通す店主の細川さん=横浜市港北区

 昔ながらの古着屋や学生に愛される飲食店などが並ぶ通りの一角に「古本」と張り紙がされた風情漂う店がある。東急東横線白楽駅からほど近い「Tweed Books(ツイードブックス)」(横浜市港北区)。12月に開業10周年を迎える町の“古本屋”だが、お客さんとの距離が近いのが特徴という。店主の細川克己さん(48)自らが案内人として、本を通して広がる新たな世界へいざなっている。

 店内は約15坪。棚には所狭しと本が並べられ、デザインや美術、哲学書、国内外の文芸書など多彩なジャンルの約1万5千冊を手に取ることができる。価格も100~4万円と幅広く、細川さんは「検索すれば一発で目当ての本に出合える時代だけれども、自分の“焦点”だけでは見つけられないものに出合える場所が古本屋。この店もいろいろなお客さんに出会って幅を広げてきた」とほほ笑む。

 横浜出身の細川さんは大学卒業後、大手書店での販売を経て、出版社の営業として働いてきた。ベストセラーや人気ビジネス書が売れる理由を探る日々だったが、本やファッションに強い興味を持っていたことから「好きな服を着て、大好きな本に囲まれる古本屋をずっとやりたかった」と38歳で一念発起。周囲の反対を押し切り、縁もゆかりもない白楽に店を構えた。 

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