【リニア】川勝知事が「拡大解釈」?…「静岡工区以外もモニタリングを」 自然環境への影響めぐり静岡県と国、JRに見解の違い

20日開会した静岡県議会2月定例会。会期中の論戦で注目される課題の一つがリニア新幹線工事を巡る問題です。

川勝知事「静岡工区以外もモニタリングを」

静岡県 川勝平太知事(20日):「JR東海の丹羽社長が1月の会見で、『改めて品川-名古屋間の各工区の進捗を確認しつつ、工事全体の進め方について検討を始めた』と表明されたことを考慮すると、モニタリングに際しては、静岡工区に限定するのではなく、他の工区との関わりを把握することも重要である。国土交通省においては、こうした点を十分に踏まえて、モニタリングの対象について柔軟に考えていただきたい」

20日開会した県議会2月定例会。そこで川勝知事が独自の主張をしたのは、リニア新幹線についてです。

リニアの静岡工区をめぐっては、静岡県が南アルプスの生態系への影響などを懸念し、いまだ工事を認めていません。そうしたなか、2月7日、国交省の村田茂樹鉄道局長が知事のもとを訪れました。

国交省 村田茂樹鉄道局長(7日):「前の水資源の問題、環境保全の両分野について総合的な視点で継続的に確認する新たな体制を準備している」

川勝知事「お~」

国側は「水資源」と「環境保全」の両分野について、JR東海の対策状況を確認するための「新たな国の有識者会議」を立ち上げることを表明。ただ、20日の県議会での発言を聞いてみると、川勝知事は「静岡工区に限定するのではなく、他の工区についてもモニタリングをするべき」と独自の見解を展開したのです。

静岡県「課題は残る」 JR「議論すべき点は残されていない」

リニアをめぐっては去年、国の有識者会議が自然環境などへの影響について議論を終え、国交省に報告書を提出しています。

ただ、これについて静岡県側は、まだ課題は残されていると主張。「議論は全て尽くした」とする国交省と意見がかみ合わなくなっています。一方で、JR東海も先週…。

JR東海 丹羽俊介社長(15日):「47項目を含めて水資源と環境保全について、議論すべき点は残されていないと考えていて、具体的にどのような点についてどういった対話が必要なのかということを、静岡県と確認しながら実務的な意見交換を開始しているところ」

議論は残っていないとする国とJR東海。一方でまだ議論をすべきという静岡県。いわゆる「静岡問題」について見解を示したのはこの3者だけではありません。

静岡市「シミュレーションには限界がある」

静岡市 難波喬司市長(16日):「生態系の問題について本格的に議論を始めたいということで、きょうはそれについての検討になります。どうぞよろしくお願い申し上げます」

先週、静岡市役所で開かれたのは、リニア工事に伴う南アルプスの環境保全についての協議会。国の有識者会議では「トンネル掘削で南アルプスの植物などに影響が及ぶ可能性はないと考えられる」と結論付けていますが、これに難波市長は…。

静岡市 難波喬司市長(16日):「地下水位が下がったら、場合によっては高標高部の植物にも影響が出る可能性はある。しかし、国の有識者会議の説明では、高標高部の植生へは地下水位の低下は影響しないと断言しているので、この表現は適切ではないと思っている」

静岡市 難波喬司市長(16日):
「シミュレーションには限界があるので、どこまで精緻にやってもわからない。(工事を)やってみて、ちょっと違う状態が出たら、しっかりと管理していくことが大事というのが市の見解。そこがまだ十分詰められていないのでは」

国とJR東海に対して異議を唱える静岡県。ここに静岡市が入っていくことで、今後どのようにリニア問題は議論されていくのか。県民からの注目が集まっています。

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