鹿児島県の新体育館整備「これ以上先送りできない」 基本構想より68億円膨らんだ事業費…知事、農業試験場跡地の売却益充当を明言「強い決意と覚悟持って早期整備」

鹿児島県が新総合体育館の整備を計画しているドルフィンポート跡地(中央)=鹿児島市(本社チャーター機から撮影)

 鹿児島県の塩田康一知事は26日、鹿児島市の鹿児島港本港区ドルフィンポート跡に計画する新総合体育館の整備に、県農業試験場跡(同市)の売却益約40億円を充てると明らかにした。「これ以上先送りできない課題。強い決意と覚悟を持って早期に整備したい」と理解を求めた。

 県議会代表質問で、自民の長田康秀議員(鹿児島市・鹿児島郡区)が、事業費が基本構想より約68億円増え、最大313億円に膨らむことの経緯や財源確保策をただした。

 農試跡は2月に2区画の入札を終え、最低売却価格は計39億9900万円。塩田知事は、売却益は県有施設整備積立基金(残高約27億円)に繰り入れ、今後、未利用の県有地売却があれば整備費に充てると説明。基金に不足が生じた場合は「徹底した事務事業見直しや歳入確保に取り組み、他の事業に影響が出ないよう適切に対応する」と明言した。

 体育館整備では、事業費削減のため、民間資金を活用した社会資本整備(PFI)手法を県事業で初めて導入。設計、建設から運営、維持管理までを民間に包括発注する。29億円の削減効果が見込める一方、建築資材や人件費の高騰、設備の脱炭素や省エネ化対応、金利上昇などで、差し引き約68億円の増額を見込む。最大313億円の事業費のうち、活用可能な国の補助金は3億2000万円にとどまる見通し。

 塩田知事は現行の県体育館の築年数が60年以上経過し、一定規模以上の大会開催には狭く、「県内全ての屋内スポーツ競技団体が早期整備を待ち望んでいる」と強調。「県議会や県民に丁寧に説明しながら理解をもらいたい」と述べた。

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