清水「水族館構想」に10カ月の遅れ 背景に展示めぐる意見対立も 静岡市

静岡市の大規模プロジェクトの一つが海洋・地球総合ミュージアム。しかし、その計画に遅れが生じています。

静岡市 難波喬司市長:「駿河湾という多様性に富んだ海を有する本市の『場の力』を生かし、県やMaOI機構、市内外の大学、JAMSTEC等の研究開発機関との連携による連合大学院の創設や研究開発の促進を通じ、本市を海洋研究・海洋産業の世界的拠点にしていくことを目指します」

当初は2026年4月開館予定

静岡市では現在、清水港に、水族館と博物館の総合施設である「海洋・地球総合ミュージアム」の建設を計画しています。この施設、もともとは2026年4月に開館する予定でしたが、ここに来て暗雲が漂い始めています。

静岡市 難波喬司市長(1日):「現状で10カ月の遅れになっているので、おそらく10カ月は開館が遅れるのではないかなと。今年の1月には着工する予定だったが、(文化施設の)事業者とこの事業の受託を予定していた東海大学との間で、調整に時間を要しているということで、スケジュールが後ろ倒しになっている。事業期間を約1年間延長する関係で、令和5年度(今年度)の事業費を減額する」

「展示する魚」「維持管理コストの協議」に時間かかる

難波市長は、事業を行う会社(=SPC)と一部事業を受託している東海大学との間で「展示する魚の種類の選定」や「維持管理コストの協議」に時間がかかっていることや、建物を支える杭の深さを変更することなどを理由に挙げ、完成時期が最大で1年程度遅れる見通しであると明らかにしました。

新たな施設の魚の選定について東海大学側は、施設はあくまで研究目的で駿河湾の研究を目的に設立し、シュモクザメなど学問的な魚や標本を入れるべきとしています。

一方で事業を行う会社側は駿河湾の魚をメーンにするが、人目を引く生きた魚を入れて集客に力を入れるべきとしています。

難波市長はかつて「デジタル系の展示」に期待

そもそもこのプロジェクトは、田辺信宏前市長の時代からスタートしています。当時、市長肝いり事業の1つでした。

この施設の“目玉”は駿河湾に生息する大型の魚類が観察できる大水槽とされていましたが、難波市長は、その見直しにも含みを持たせています。

静岡市 難波喬司市長(去年5月):「デジタル系の展示をしっかり入れる、ということですね。あるいはVRとか、バーチャル系のものも入れていくということですね。集客力、魅力の点で持続可能性を高めていくことが大事だと思います」

21日の市議会で、今年度の一般会計から事業費など、およそ31億円余りを減額する案が出されました。難波市政としても注目のプロジェクトとなる清水の「海洋・地球総合ミュージアム」構想。市長はこの先、どのように舵取りをしていくのでしょうか。

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