アルミ再利用 富山を先進地に JST富大事業「本格型」に採択 市民一体、AI選別を研究

プロジェクトについて説明する齋藤学長(中央)=富大五福キャンパス

 富大は26日、アルミの先進的なリサイクルに関する研究プロジェクトが科学技術振興機構(JST)事業の「本格型」に採択されたと発表した。県西部ではアルミ産業が盛んであり、産学官で進めてきた従来の研究に市民も資源回収などで協力してもらい、富山を資源循環社会の先進地とすることを目指す。人工知能(AI)を使い、アルミと他の物質を選別する技術の開発にも着手する。

 事業は「共創の場形成支援プログラム」で、2022年に「育成型」として採択を受けた。約1年半、アルミリサイクルの実用化に向け、アルミ合金の不純物除去の研究を進めてきた。今回、本格型に昇格したことで、年間2億円の支援が最長10年間受けることができる。

 リサイクルする過程で発生した課題や成果を情報共有し、研究を加速させる。

 リサイクルされた製品にデザイン性を加えて高付加価値化を図る人材やビジネスとして展開する人材の育成も図る。市民の資源回収への意識を高めるため、有識者を交えたワークショップや講座も開催する。

 26日、富大五福キャンパスで記者会見が行われた。アルミを巡っては、電気自動車(EV)の軽量化に伴って需要が高まっている。日本はアルミの地金を全て輸入に頼っており、同大先進アルミニウム国際研究センターの柴柳敏哉センター長は「再生アルミ合金によって、輸入量を半減することを目指したい」と述べた。

 齋藤滋学長は、プロジェクトの入口に当たるアルミ回収には市民の協力が不可欠だとし、「富山をリサイクルで日本を代表する都市にしていきたい」と期待を込めた。

 3月19日に富大高岡キャンパスで、キックオフミーティングを開く。

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