災害ボラ作業時間「倍に」 穴水に宿泊拠点開設

ベースキャンプのテントに到着したボランティア=26日午後6時5分、穴水町比良の旧向洋中

  ●有償で食事も提供

 能登半島地震の被災地に入る一般ボランティアの宿泊拠点「奥能登ベースキャンプ」が26日、穴水町の旧向洋中に開設された。初日は石川県内外の計42人が利用し、翌日朝に始まる作業に備えて体を休めた。「前線基地」の誕生により、金沢からの移動に割いていた時間を作業に充てることが可能となり、参加者は「やっと本領を発揮できる」と腕をまくる。(穴水支局長・中川弘孝)

 ベースキャンプを運営する石川県によると、テントは教室4部屋に計29張り、体育館に66張りの計95張りを用意した。定員1~2人で100人程度を収容できる。マットレスや段ボールベッドも置かれ、食事代(2食分1千円)を払えば弁当やおにぎりの配布を受けられる。

 県によると、ベースキャンプからは最も遠い珠洲市まででも移動は1時間半程度。これまでは金沢からバスを利用して日帰りで活動していたため1日の作業が3~4時間に限られていた。拠点が完成したことで「倍ほどの作業が可能になる」(県担当者)という。

 2016年の熊本地震を経験した自営業岡山彰洋さん(33)=熊本市=は「遠方から参加するので、せっかくならたくさん働きたいと思っていた」とし、前線基地の開設を喜んだ。

 自営業髙岡ゆりさん=長野県木曽町=は4度目の珠洲市入り。過去3度は移動に時間が割かれ、作業時間が短かったことに物足りなさを感じていたといい「早く寝て明日また頑張ります」と気合十分に語った。

 テントが並ぶ体育館を歩いていると、思わず身震いした。所々にストーブが置いてあるが、寒い。もうすぐ3月とはいえ、夜は特に気温が低く、ボランティアの体調管理が心配になる。

  ●寒くても不満なく

 ただ、会社員小嶺航良(こうすけ)さん(27)=大宮市=は「ボランティアは自分で自分を守らないといけない」ときっぱり。他にも何人かに話を聞いたが、住環境に不平不満を言う人は1人もいなかった。

 ベースキャンプの利用は3月3日まで、珠洲市と穴水町のボランティアに限られる。被害が甚大な輪島市は、現地の安全を確認する事前調査に時間がかかっているという。作業時間を延ばすのに加え、作業領域をいかに広げるかが次の課題となる。

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