回転窓/戦争と建設

ロシアの文豪、トルストイの傑作とされる長編小説「戦争と平和」。フランスの皇帝ナポレオンによるロシア遠征など19世紀前半の史実を踏まえ、ロシアの貴族や庶民の人間模様を描きつつ、生きる喜びや豊かな人生の在り方を示す▼世界中で読み継がれる文学作品の一つだが、登場人物は559人に及び、ストーリーが複雑に入り組んで難解とされる。それでも題名にある戦争への批判的な姿勢はうかがえる▼2年前に開始されたロシアによるウクライナ侵攻が今も続いている。多くの人たちが犠牲となり、悲劇しか生まない戦争を繰り返す人類史にピリオドを打つのはなかなか難しいようだ▼先週、国土交通省はウクライナ地方・国土・インフラ発展省との間で、同国の復旧・復興支援などの協力覚書を交わした。対象分野は鉄道・道路・空港・海上輸送、道路管理、観光、住宅、ダム、上下水道、都市・国土計画、建設業の法規制と幅広い。ワークショップや会合を通じて情報交換を進めるという▼人々が安心・安全に暮らせる平和な社会を築く上でインフラは不可欠。戦禍で荒廃した国土の再生で建設産業が果たす役割は大きい。

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