【弥生賞】サンデーサイレンス系産駒が好相性 皐月賞トライアルの「記録」を振り返る

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カギとなる馬体重は484キロ?

今週は皐月賞トライアルの弥生賞が開催される。近年でも、勝ち馬にはタイトルホルダーやアスクビクターモア、タスティエーラなどがいて、2着馬もシュネルマイスターやドウデュースらがいるように、世代を代表する名馬を多く輩出した。今回は、そんな弥生賞の記録を振り返る。なお、データは1986年以降に限る。

昨年の勝ち馬タスティエーラは、続く皐月賞で2着、ダービーで勝利。菊花賞でも2着に入り、最優秀3歳牡馬に選出された。2着だったトップナイフも札幌記念で2着など存在感を見せている。この2頭はいずれも484キロと、馬体重は全く同じだった。

弥生賞の馬体重別成績を見ると、馬券圏内に入った馬が最も多いのは484キロ。上記2頭のほかに、コスモインペリアル、コディーノ、ワンアンドオンリー、ブライトエンブレム、エアスピネル、ジャンダルムと、8頭が馬券圏内に入った。素質馬が集まる弥生賞とはいえ、2014年ダービー馬ワンアンドオンリーをはじめ能力の高い馬が並ぶことにも注目したい。2番目に多いのは480キロの6頭。コスモバルクやアドマイヤジャパン、シュネルマイスターなどだ。

ちなみに484キロで出走したトップナイフ、ジャンダルムはいずれもマイナス10キロでの出走と、これは馬券圏内に入った馬の中では最も馬体を減らしていた。逆に最も馬体重を増やしたのはフジキセキの16キロ。2番手タイはワンアンドオンリーら5頭のプラス10キロだった。

父ディープインパクト×母父フレンチデピュティは3戦3勝

種牡馬として最も馬券に絡んでいるのは、サンデーサイレンスの15頭。さらにディープインパクトが10頭、ハーツクライが6頭と、サンデーサイレンス産駒の種牡馬が続く。4位タイは4頭を送り出したネオユニヴァースとキングカメハメハで、ここでようやくサンデーサイレンスの血を持たない馬が出てくる。

トップのサンデーサイレンス産駒は勝ち馬だけでも6頭。フジキセキ、ダンスインザダーク、スペシャルウィーク、フサイチゼノン、アグネスタキオン、ディープインパクトで、フサイチゼノンを除く5頭が引退後に種牡馬として国内GⅠ馬を輩出している。フジキセキはサダムパテック、アグネスタキオンはアドマイヤオーラ、ディープインパクトはアスクビクターモアなど、その産駒も弥生賞を制覇し、スペシャルウィークは母父として2016年2着馬リオンディーズを輩出している。

サンデーサイレンスは母父としても10頭を3着以内に食い込ませて歴代トップ。アドマイヤムーン、トゥザワールドは勝利をあげており、弥生賞史にもその名を深く刻んでいる。とくに父キングカメハメハとの組み合わせで3頭が馬券圏内に入っていて、「弥生賞配合」とも言える強さを見せた。

一方でその他の母父サンデーサイレンス系はまだまだ苦戦中で、母父ディープインパクトは昨年3着のワンダイレクトのみ。あとは母父マンハッタンカフェのタスティエーラはいるものの、母父ハーツクライや母父ゼンノロブロイなどからは馬券圏内に入っていない。今年は母父ディープインパクトのエコロレイズと、母父ゼンノロブロイのシリウスコルトが該当する。

母父としての2番手はノーザンテーストの6頭。父リアルシャダイとの組み合わせで1991年1着イブキマイカグラ、1993年3着ステージチャンプが好走している。その他で弥生賞が得意な配合としては父ディープインパクト×母父フレンチデピュティ。なんと、カミノタサハラ、マカヒキ、メイショウテンゲンと過去に3頭が出走し、その全てが勝利をあげている。当然『父×母父』の組み合わせとしては最多勝である。

皐月賞直行組が増えた現代競馬でも、弥生賞は重要なポジションにあることは間違いない。今後も父ディープインパクト×母父フレンチデピュティのような"勝率100%"の組み合わせが出てくるかもしれない。そうした新たなる弥生賞配合を誰よりも早く見つけられるよう、今年の出走馬の血統にもご注目いただきたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。



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