【会話力の磨き方】「そんなに親しくない人と何を話せばいい?」ラジオDJ・秀島史香さんがアドバイス[後編]

おしゃべりをしていると、とても楽しい、豊富な話題でいつもみんなを盛り上げる、そんな人になるためには、どうすればいい? ラジオのDJとして20年以上、個性豊かなゲストの方たちを迎え、その経験から会話のコツを体得してきた秀島史香さんに、会話の悩みにお答えいただきました。

前編はこちら。

お話を伺ったのは
ラジオDJ
秀島史香さん

ひでしま・ふみか●1975年、神奈川県生まれ。ラジオDJ、ナレーター。
慶應義塾大学法学部政治学科卒業。大学在学中にラジオDJデビュー。
現在、Fm yokohama「SHONAN by the Sea」などに出演中。
ハスキーな声、温かい人柄とフリートークが人気。映画、テレビ、CM、アニメなどのナレーション、美術館音声ガイドなど幅広く活躍。

秀島さんが経験から得た、相手の心をつかむ具体的な方法が満載。『いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則』(朝日新聞出版)。

Q そんなに親しくない人と何を話せばいい?

ちょっとした顔見知り程度で、そんなに親しくもない人と電車やバスで乗り合わせたとき、どんな会話をすればいいでしょうか。
(舞のママさん・64歳)

A 目に入るものを話題に。見たままを描写します

こういうときは、「目に入るもの」を話題にしましょう。ダウンジャケットを着ている人がいれば「あのダウン、あったかそう。週末は冷え込みそうですね」とか、マスク姿の人が多ければ「空気が乾燥しているのでマスクが欲しくなりますね。インフルエンザも流行っていますし」とか。「私はあなたと会話をしたいんです」という意思表示になります。

お稽古事の帰りに誰かと一緒に歩くことになった場合や、サークルの歓送迎会などでも使える手です。

Q 会話が途中でとぎれて長続きしない

会話の途中で、話がとぎれてしまって気まずい空気になることがよくあります。会話のキャッチボール、どうすればできるようになりますか?
(A・Tさん・71歳)

A 日々の暮らしの話題でウォーミングアップを

「私が盛り上げないと!」とハードルを上げすぎていると、かえって何も話せません。まずウォーミングアップのつもりで、天候や健康、衣食住など、日々の暮らしに関する話題で言葉のラリーを重ねてみます。少し前に見かけたことでも。

たとえば「この時期、どこに行ってもバレンタインのチョコだらけですねぇ。甘いものはお好きですか?」といった具合に。大切なのは、相手の答えをしっかり受け止めること。楽しく反応することで会話は自然に進みます。

Q わざとらしくない 「ほめ方」って?

友人のファッションを見て「素敵ね、似合うわ」と言ったら「安物よ」と一蹴されました。取ってつけたようなほめ言葉を見抜かれたのかも。
(さっちんさん・66歳)

A 相手に謙遜されてもほめ通しましょう

「相手をほめる」ことは、会話のきっかけをつくる魔法の言葉です。一蹴されても否定されても、とにかくほめ通す、絶対に引かない。ほめられた側は単に謙遜しているだけ、ということもよくありますから。「安物よ」と言われたら、「そう? すごくいい色よ」「顔色が明るく見えるわ」と、「いいね!」ポイントを探してぶれずにほめます。

ムキにならずに、軽く柔らかく。ほめられて嫌な人はいません。

Q 父に免許の返納を迫ったら断固拒否されて……

帰省したときに、父に「車の免許、そろそろ返納すれば?」と言ったら激怒されました。どう話せばわかってもらえるでしょうか。
(YOKOさん・53歳)

A 心配する思いを伝えて 「北風と太陽」作戦で

お父さんにもプライドがあるので、「子どもから言われたくない」というのは当然ですよね。いきなり迫るのはNG。心配していることを伝えて、聞く耳をもってもらいましょう。

「まだまだ若いと思うけど、高齢者の事故のニュースを見て孫が心配していたよ」「今すぐとは言わないけど考えてね」と。車に乗らないことのメリットを伝えるのもいいと思います。「歩くのも体にいいよ。車を手放せばお金も浮くから、その分でお母さんと旅行に行ったらどう?」と。

会話力アップには「声磨き」も大切!

聞き取りにくい、声量がないなど、声の悩みを相談されることも多い秀島さん。自信をもって会話を進めるための、誰でもできる声の磨き方を教えていただきました。

①自分の声を聞いてみる

「自分の声を何とかしたい」と思ったら、スマホの音声録音機能を使って自分の声を録音し、聞き直してみましょう。初めは恥ずかしくても、何度も聞いていると「この部分は比較的聞きやすいかな」という、自分のほめポイントも見つけられるようになります。

イメージしていた声より堅苦しいと思ったら、優しく話してみる、小さい声だなと思ったらはっきり話してみます。

②早口言葉でトレーニング

新人時代、毎日繰り返していた方法です。「赤巻紙青巻紙黄巻紙。お綾や、親にお謝り。お綾や八百屋にお謝りとお言い。新人歌手新春シャンソンショー。東京特許許可局」。これら早口言葉を録音して聞き直します。

できるレベルから始めて徐々にスピードを上げる。いかにはっきりスムーズに読むか、がねらいです。加えて好きな小説や気に入った新聞記事などを音読しましょう。

③背筋を伸ばす

仕事中でも家でも、姿勢を正すことを意識するようにしています。見た目だけでなく気持ちが引き締まり、声にもハリが出てきます。まさに「人間は体全体が楽器」なんです。力を抜いて背筋を伸ばし、あごを軽く引く。両肩は落とし、縮こまっている肩甲骨を広げるように意識します。よくいわれる、「頭の上についた一本の糸で天井からつるされているイメージ」で。

※この記事は「ゆうゆう」2022年2月号増刊(主婦の友社)の記事を、WEB用に再編集したものです。


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