国交省/BIM・CIM原則適用フォローアップ、3Dと2Dの連動課題に

国土交通省は2023年度に直轄土木業務・工事で原則化したBIM/CIM適用のフォローアップ結果を公表した。まずは発注者へのアンケートで非効率になったと回答があった課題を優先し対応を検討していく方針。3Dモデルと2D図面が連動していないことに起因する問題が多く挙がっており、3Dから2Dを作成する業務の試行を検討する。BIM/CIMを扱う発注者側の環境整備や学習機会も拡充する。
原則適用では工事・業務ごとに発注者が3Dモデルの活用目的を明確に示す。活用目的うちハードルが低い内容を「義務項目」、より高度な内容を「推奨項目」と設定。地方整備局の発注担当部署に23年12月時点の工事での適用状況を聞いたところ義務項目では「現場作業員などへの説明」、推奨項目では「施工ステップの確認」が最も多かった。
BIM/CIMの活用機会があった職員へのアンケートでは、受発注者間や関係機関協議先、発注者の内部説明などで合意形成がスムーズになったとの声があった一方、▽モデル作成に手間が掛かる▽関係基準類が多くあり把握するのに時間が必要▽現状では2D図面と3Dモデルの両方を作成する必要がある-といった課題が多く聞かれた。
22日に開かれた産学官組織「BIM/CIM推進委員会」(委員長・矢吹信喜大阪大学大学院工学研究科教授)の会合では、フォローアップ結果を踏まえ有識者から「施工ステップでの確認が多く、4Dの時間軸を入れたBIM/CIMの展開につなげてほしい」などの意見があった。設計段階のモデルが施工段階にどう引き継がれているかを検証し、将来的なワークフローの改善につなげるべきとの意見もあった。

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