政令市/24年度予算案出そろう、10市で投資的経費2桁増・災害対応が顕著に

20政令市の2024年度予算案が26日に出そろった。投資的経費は10市で2桁増となった。57・7%の大幅増となった堺市は、24年度にピークを迎える中学校給食センター建設工事が数字を押し上げた。浜松市は新清掃工場の整備が完了したことで24・1%減となった。新潟市の能登半島地震復旧事業をはじめ、災害対応に予算を投じる市が目立つ。道路網などのインフラ整備も進みそうだ。
20市の投資的経費の総額は1兆9123億円。能登半島地震を受け、新潟市は復旧費に118億円を計上。道路や公営住宅の復旧、液状化で被災した住宅の建て替えなどに充てる。横浜市は同地震の課題を分析し、24年度中に新しい地震防災戦略を策定する。大阪市は都市インフラの充実や防災力強化に予算を配分した。
近年の豪雨災害に対応するため流域治水事業に注力する自治体もある。仙台市は流域治水推進モデル事業(福田町エリア)に新規着手。排水施設の整備や改修、田んぼダムの整備を推進する。さいたま市は流域貯留浸透施設や調節池の整備に加えて、下水道の浸水被害を軽減する取り組みも推進していく。
新庁舎整備事業の予算を盛り込んだ市もある。熊本市は建設地や庁舎機能、規模調査などの業務委託費を新規に計上した。新潟市は西蒲区役所新庁舎の基本設計に着手する。仙台市は、市役所本庁舎の建築工事を本格化させる。さいたま新都心駅周辺地域に新庁舎を計画するさいたま市は、24年度に基本設計者の選定や、整備後を見据えたまちづくりの検討費も確保した。
千葉市や名古屋市などは主要駅周辺の再開発事業や土地区画整理事業に一段と力を入れる。千葉市は千葉駅や幕張豊砂駅などの周辺地域で官民連携でまちづくりを進める。名古屋市は、名古屋鉄道名古屋本線鳴海駅前の第2種市街地再開発事業用地を候補地とする、みどり市民病院の移転改築を新規事業に盛り込んだ。堺市はJR西日本津久野駅前周辺市街地再整備支援費用や、泉北ニュータウン駅前再編整備などに予算を充てている。

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