役場耐震化巡り二宮町 「非現実的」と見解

 4月の熊本地震で熊本県宇土市が市役所庁舎の被災で住民支援に支障が出たことに関連し、町民らから求められている町役場の耐震工事について二宮町は8日、「現在の執務環境が維持できないなど現実的ではない」と見解を示した。

 この日開かれた町議会6月定例会で、二宮節子(公明)、善波宣雄(無所属)両氏の一般質問に町側が答えた。

 1978年に完成した町役場は阪神大震災後の96年度の耐震診断で、震度7程度の地震が発生した場合、倒壊の危険性があるとの指摘を受けた。耐震工事の必要性がクローズアップされたが、町は「学校や消防施設の対策を優先し、財政事情の厳しさもあり、町役場庁舎まで手が回らなかった」。必要最低限の耐震工事をした場合でも、2億6500万円が必要という。

 さらに柱の間などに補強材を入れるなどの工法にも、「職場の動線が絶たれ、空間が一層狭まる」ことから難色を示した。

 ただ、平地の町有地に建て替え移転した場合は18億円、現在地に建て替えをした場合はそれ以上かかるとも試算。町は「さまざまな選択肢があるが、早期に結論を出すべく検討を進めている」と説明した。

 

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