タイミー、バイトから正社員登用を促す 新規紹介事業「タイミーキャリアプラス」を開始

アルバイト仲介アプリ「タイミー」を手掛けるタイミー(東京都港区)は2月22日、新規事業として採用企業側に向けた完全成果報酬型の人材紹介サービス「タイミーキャリアプラス」を始めたことを発表した。求人掲載や候補者の紹介は無料で、利用料金は入社1人当たり理論年収の30%(税抜き)。働き手の資格取得・スキル習得からその先のキャリア形成、正社員としての長期就業を支援する。

キャリア相談・リスキリング講座など働き手を支援

タイミーキャリアプラスは、資格や経験などの有無にかかわらず、挑戦したい仕事ができるようになるための機会を提供することが目的。希望者は、「キャリア相談」「資格や免許取得、スキル習得のためのリスキリング講座」を受けられる。企業側は、「タイミー」で可視化されたスキルや勤務実績、体験勤務による勤務状況を確認しながら採用できる。

同社は2017年8月に設立。「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」をミッションに掲げ、スキマバイトサービスとして「タイミー」を提供してきた。「タイミー」では、各業界での研修会・講習会の実施やアルバイトが全員スポットワーカーの居酒屋「THE赤提灯」、さらには2023年に追加した新機能「バッジ機能」など、働き手のスキルや実績を蓄積し、可視化する取り組みを行ってきている。従業員数は1000人を超えている。

「タイミー」の累計ワーカー数は700万人を突破。2021年12月に200万人、2022年8月に300万人、2023年1月に400万人、同6月に500万人、同10月に600万人と順調にワーカー数を増やしてきており、2021年から2024年までに約3.1倍となっている。同社は、ワーカー数が増える理由として、働き方が多様化し、好きな時間・好きな場所で働けるスキマバイトの利便性が広く浸透、定着してきたことを挙げている。サービス開始後は、飲食業や物流業、小売業などが中心だったが、昨今は旅館・ホテル業界や農業分野での利用が広がっている。ワーカーの性別は、女性が56.6%、男性が40.9%、その他2.4%。年代は、20代が最も多く34.7%で、30代(17.7%)、40代(17.5%)、10代(15.5%)、50代(11.7%)が続く。職業は、学生が最も多く31.8%で、会社員(29.7%)、パート・アルバイト(16.8%)、自営業・フリーランス(5.9%)、専業主婦・専業主夫(6.8%)が続く。

働き手を可視化し、就職後のミスマッチを減らす

新サービスを説明するタイミーの小川社長

同日に開かれた発表会では、小川嶺社長がタイミーキャリアプラスのサービスを説明。サービスには、「タイミー」と「キャリアプラス」の2つの側面があり、求職者は「タイミー」の就業で得たスキルや実績を可視化した「バッジ」をもとに、正社員採用の求人の紹介や体験勤務、正社員登用までが一貫して行われることを紹介した。求職者のメリットについて小川社長は、入社前に体験勤務をして理解を深めた上で、地震が望む業界への就職を目指せることをアピールした。事業者は、資格やスキルを身につけた働き手が採用でき、入社後のギャップの低減や人材の定着が期待できる。

タイミーキャリアプラスの特徴について、小川社長は「タイミーワーカーとしての実績が履歴書替わり、信頼の証となる。働き手は信頼できるデータを元にアプリ上で就職、転職活動ができる。企業側は、体験勤務を通じて働きぶりが確認でき、就職後のミスマッチを防げる」と話した。また、就職へのサポート体制として、資格などの習得サポート(一部選考有り)、キャリア相談ができることを強調した。

ビジネスモデルは、企業側が入社1人当たり理論年収の30%(税抜き)を支払う完全成果報酬型を採用している。返戻金制度を設けており、短期で退職した場合は、入社日1カ月以内で80%、3カ月以内で30%が返金される。想定される年収について、小川社長は「300~450万円を想定している」と述べた。

完全成果報酬型を採用

メルカリが2023年11月17日に発表したスキマバイトサービス「メルカリ ハロ」など競合サービスについては、小川社長は「人材業界はパラダイムシフトの時期を迎えた。求人媒体は履歴書を求めるが、これは企業側の目線。昨今は、働き手目線が求められており、面接なしですぐに働きお金をもらうことが根本価値となる」と話し、業界の活性化を歓迎した。

このほか、発表会ではタイミーキャリアプラス導入事業者を迎えたトークセッションを実施した。ヒルトン日本・韓国・ミクロネシア地区担当の麻生周治統括本部長と日本通運の岡本俊一京都支店長が登壇。導入について、麻生統括本部長は「コロナ禍を経て、ホテル業界からは多くの人が去ってしまい、人手不足は続いている。そのような中、急いで採用するホテルも多いが、採用後のミスマッチが非常に多くなっている。お試し期間があることは、採用側としても安心であり、何年後かには大きなリソースになるかもしれない」、岡本支店長は「物流業界は、一般的にはそんなに人気がある業界ではないが、タイミーを活用した募集ではいろんな人が応募してくれている。前日に募集しても結構な人数が集まることは大きなメリット。タイミーキャリアプラスの第1号の採用を行ったが、人を見て、互いに合意してから採用できることは、他のサービスにはないこと。新しいチャネルとしても期待している」と述べた。

ヒルトンの麻生統括本部長

日本通運の岡本支店長

取材 ツーリズムメディアサービス編集部 長木利通

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