富山大のアルミ再生研究「格上げ」 科技振興機構が2億円10年間交付、産官学民の連携評価

会見で民間との連携強化について説明する齋藤学長=富山大

 富山大が取り組むアルミニウムリサイクル技術の研究で、これまで「育成型」として支援を受けてきた科学技術振興機構(JST)からの位置づけが「本格型」に昇格した。2024年度に格上げされるのは全国8校のうち2校で、地域住民や企業と連携した産官学民の取り組みなどが評価された。24年度から最長10年間、毎年最大2億円の交付を受ける。26日に富山大が会見で説明した。脱炭素社会の実現につながる技術開発がさらに加速しそうだ。

 富山大のアルミリサイクル研究は2022年度、JSTの「共創の場形成支援プログラム」の育成型として、全国から応募があった47校からほか7校とともに選ばれた。

 各校は2年間で最大5千万円の支援を受けて研究を進め、富山大は、効率よくシリコンなどの不純物を取り除き、再生アルミを新品のように扱えるようにする技術の研究を推進。企業や地域住民とのワークショップでリサイクルのアイデアを募るなど、産官学民の連携を強化した。これらの成果が特に評価され、24年度から「本格型」に昇格する2校に選ばれた。

 交付金は人材育成や国際的な研究協力に充てる。今後は、昨秋に高岡キャンパス(高岡市二上町)に完成した新しい研究施設で3月19日にキックオフミーティングを開く。企業や市民から寄せられたアイデアの具体化などにも取り組む。

 26日に会見した富山大の齋藤滋学長は「富山を日本のアルミリサイクルを代表する街にしたい」と強調。先進アルミニウム国際研究センターの柴柳敏哉センター長は「地域の方々と一緒に本気で未来をつくっていく」と意気込みを語った。

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