温泉水ウナギを商品化 黒部Uプロジェクト協議会が食味試験、24年度にも提供

食味試験でウナギの白焼きを皿に取る参加者=フィール宇奈月

 富山県黒部市宇奈月温泉の温泉水に入れたウナギの特産化を目指す黒部Uプロジェクト協議会(吉田忠裕会長)は26日、温泉水ウナギを2024年度にも商品化し、旅館やホテルで提供できる見通しになったと発表した。宇奈月温泉のホテル「フィール宇奈月」で同日行ったウナギの食味試験で参加者に説明した。

 黒部Uプロジェクト協議会は黒部市内の民間企業などでつくる。2021年から県水産研究所と協力し、温泉水でウナギの付加価値を高めようと研究を開始。養殖ウナギは1週間ほど水に入れてから出荷することを踏まえ、産地で養殖されたものを宇奈月温泉に運び、約20度まで冷ました温泉水のいけすに入れる実験を行ってきた。

 これまでの食味試験や成分試験で、他の水に入れたものより身がやわらかくおいしいと確認されたため、商品化に乗り出す。県鮭鱒漁業協同組合(魚津市)が冷凍の白焼きやかば焼きに加工し、宇奈月温泉の宿泊施設に卸す予定。

 この日の食味試験では、浜松市で養殖され、宇奈月で温泉水に1週間入れたウナギの白焼きを用意。住民や関係者約50人が、温泉水に入れたウナギと入れていないウナギなど4種類を食べ比べた。参加者からは「温泉水ウナギは脂が乗っているように感じた」などの声が聞かれた。

 協議会の堀内康男副会長は「宇奈月温泉の特産として使ってもらう下地ができた。全国に発信していきたい」と強調した。

 協議会によると、温泉水ウナギは有名シェフがメニューを考案するJTBのプロジェクトの使用食材に選ばれている。協議会はこのほか、市内河川にウナギの幼魚を放流しており、この日は幼魚が順調に成長していることも報告された。

白焼きを食べて味や食感を記録する参加者
食味試験で出されたウナギの白焼き
放流したウナギの育ち具合について説明する黒部Uプロジェクト協議会の川端康夫事務局長

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