中国でのごみ分別、「花火のように燃え尽きた」理由とは―華字情報サイト

中国では一時、「ごみの分別」が大いに注目され、協力する人も増えた。しかし現在では、人々の意欲も低下して「見る影もない状態」という。写真は集合住宅に設置されたごみの回収箱。

中国では一時、「ごみの分別」が大いに注目され、協力する住人も増えた。しかし現在では人々の意欲も低下し、「見る影もない状態」という。なぜ、このような状態になったのか。海外在住中国人向けの華字情報サイトの留園網はこのほど、ごみ分別運動が「燃え尽きて」しまった状況を解説する記事を発表した。以下は、同記事の主要部分の要約だ。

コロナにより衛生意識高まり、ごみ分別も重視されたのだが……

新型コロナウイルスの流行が始まった2020年に、中国人のごみ分別に対する意識は高まった。当時は感染症の流行に対するパニック感情が発生していた。そして、感染症の発生の背後には環境汚染が存在するとの考えも広まった。人々は、きれいな環境は皆の健康に有益だと考え、そのためにごみの分別に対する積極性は高まった。

当時のごみの分別についてのアンケートでは、「専門のスタッフやボランティアがごみの分別を指導監督する」「(分別を怠った場合の)厳しい罰則がある」という前提は設けられたものの、「ごみの分別をする」と回答した人が95.9%という高率に達した。

ごみは「リサイクルごみ」「生ごみ」「有害ごみ」「その他のごみ」に分類された。さらに、一部地域では「乾燥ごみ」「湿ったごみ」という区分も設けられた。すると「乾燥ごみ」と「湿ったごみ」の区分について熱心な議論が発生した。人々はごみの分類で混乱した。

複雑であいまいな分別の基準で人々の心は離れた

上海社会科学院のアンケートによると、同市市民の50.7%が、ごみ分別の最大の困難は分別基準が複雑すぎることだと回答した。多くの人は、ごみの分別そのものを拒絶したのではなく、明確な指導の欠如に戸惑い、手がつけられなくなったと考えられる。

一般住人だけでなく、マンションなどの管理側もごみの分別ができるスタッフを探すことが困難だった。この種の職業は低収入で、しかも年中無休状態だ。また、分別の基準がそもそもあいまいなので、住人と衝突しやすかった。したがって、長期にわたり続けたいと思う人は皆無の状態だった。

ごみの分別はごみを出す人にとって負担になる。しかも、ごみの分別についてきちんと指導できる人も欠如していた。そのため、多くの人が「ごみ分別を提唱」するが、自分では実行しない状態が発生した。

都市部の集合住宅でごみの分別回収を実行するには、住人向けにごみの種類別の回収箱を用意する必要がある。しかし多くの住宅で、ごみの種類別の回収箱はなかった。さらに、住人がごみを分別して出しても、同じ回収車がごみを混ぜて運ぶこともあった。これでは、ごみ分別の意味がまるでない。ごみの分別は、21年後半の時点で実行が困難になっていた。22年にはほぼ放棄された。

人々の「無料奉仕」に頼ったごみ分別は持続可能ではない

ごみの分別が後退した原因の一つは、ごみを出す側の負担をしっかりと考えていなかったことだった。家庭がごみの分別をするのに必要とする時間は、ごみ出し1回当たり5-10分ぐらいだろう。しかし、このわずかな時間負担をあなどってはならない。

20年以降は、感染症のために人々の収入が悪影響を受けた。しかしゴミの分別は人々の負担を増すだけで、何の収入にももたらさなかった。

22年にはインターネットで「デンマークにボトル拾いに行きたい」という話題が注目を集めた。投稿者は、かつてデンマークのコペンハーゲンで生活していた際には、週末にはよく仲間とボトル拾いに出かけて、かなりの金銭を得ていたと紹介した。

デンマークでスーパーの回収機にボトル42本を投入したところ、78.5クローネ(約1700円)を得られたと紹介する投稿もあった。デンマークだけでなく、北欧では多くの公共の場、たとえば、店やオフィス、カフェ、レストランにリサイクル機が置かれている。北欧では、古い容器をリサイクルすることは再生産するよりもはるかに環境に優しく、エネルギー消費量を大幅に削減することができる、つまり持続可能性がもたらされると広く認識されているのだ。その上、協力すれば報酬を得ることができる。

中国では、ごみの回収の質の向上に協力しても収益を得ることはできない。北欧では、協力すれば利益が生じることで人々の意識が高まったが、中国にそのようなメカニズムはない。したがって、ごみの分別についていったんは意識が向上したが、意識は再び低下して、最後には「静かに放棄」されることになった。ごみの分別というシステムの稼働を、住人の無料奉仕に頼っていたのでは、システムは持続可能にはならない。

デンマークの例でも分かるように、ゴミ分別を成功させる鍵の一つは、人々や業者が利益を得られる「換金メカニズム」を駆動できるかどうかだ。中国が改めてごみ分別を再開するならば、このことは考えるに値する一つの方向性だ。(翻訳・編集/如月隼人)

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