【イラストでたどる石州街道】No.23「地福教会」

▲文・イラスト=古谷眞之助

 サビエルが布教活動を行った大道寺の場所を金古曽町と推定したことで知られるヴィリオン神父は、その後萩に活動拠点を移すと、遠く津和野での布教活動も開始した。その途中の地福でいつも一泊していた彼は、地元の原医師(洗礼名ペトロ)の協力で明治23年(1890)頃から地福でも布教を始めた。

 神父は当初、病院の二階でミサを行っていたが、信者らに教会建設を提言し、信者らは醤油醸造所跡地を購入してここに念願の教会を建てたという。現在の地福教会は昭和29年(1954)に建てられた畳敷きの和風聖堂で、かつては幼稚園も併設されていたから、春ともなれば、庭の桜の咲き乱れる下で園児たちの歓声が響き渡っていたことだろう。

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