スウェーデン、NATO加盟へ ハンガリーが承認

ポーリン・コーラ、BBCニュース

スウェーデンが26日、北大西洋条約機構(NATO)加盟のための最後の障壁を乗り越えた。ハンガリー議会が同日、スウェーデンの加盟を承認した。

議員による投票は、賛成188、反対6で、ほぼ全会一致だった。

スウェーデンは2022年にロシアがウクライナに全面侵攻したのを受け、NATO加盟を申請した。

新規加盟には加盟31カ国すべての承認が必要。ハンガリーは、同国に対してスウェーデンが敵対的だとし、承認を遅らせていた。

しかし、ハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相は先週になり、両国は今や「互いのために死ぬ用意がある」と発言していた。

NATOでは、加盟国が攻撃された場合、全加盟国に支援が求められる。

スウェーデンのウルフ・クリステション首相は、スウェーデンにとって「歴史的な日」だとし、200年にわたる軍事的中立を放棄する「大きな一歩」だと述べた。

「スウェーデンは傑出した国だが、私たちと私たちが信じるものすべてをさらによく守るためNATOに加盟する」

NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、ハンガリーの決定が同盟を「より強く、より安全に」すると述べた。

ハンガリー議会の承認は、大統領の署名が必要。それを経て、スウェーデンは正式に加盟が認められる。

この手続きは通常、数日で終わる。

圧力かけたと加盟国を非難

ハンガリーのオルバン首相は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と関係が近いナショナリストの政治家。欧州連合(EU)によるウクライナへの軍事支援を、たびたび妨げてきた。

一方、スウェーデンは、ハンガリーがEUの民主主義の原則から離れていると非難するEU加盟国の一つ。

これに対してオルバン氏の報道官は、スウェーデンを「崩れかけた道徳的優位の王座」に座っていると非難していた。

しかし先週になり、オルバン氏はスウェーデンのクリステション首相を招き、スウェーデンの加盟への支持を表明した。

26日に演説したオルバン氏は、1年9カ月にわたった承認手続きの遅延を終わらせようと、一部のNATO加盟国がハンガリーに圧力をかけたとして、国名は挙げずに厳しく批判した。

「ハンガリーは主権国家であり、決定の内容や時期を他国に指図されることは容認しない」

NATO加盟国のトルコも、スウェーデンがクルド人分離主義者を支援しているとして、スウェーデンの加盟申請に対する採決を留保していた。しかし、1月に議会で承認した。

スウェーデンと、東隣のフィンランドは長年、軍事的に中立とされてきた。だが2022年5月、NATO加盟への意向を表明した。

フィンランドは昨年4月に正式に加盟。NATOとロシアの境界は長さが倍になった。

ロシアのプーチン大統領は2022年、NATOの拡大をけん制し、西側の集団体制を弱めようと、軍をウクライナに送り込んだ。

ところが実際には、スウェーデンとフィンランドがNATOに加わるなど、プーチン氏の思惑とは逆のことが起きている。

(英語記事 Hungary's parliament clears path for Sweden's Nato membership

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