【弥生賞】のちのGⅠ馬を撃破したダノンエアズロックが参戦 参考レース振り返り

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

皐月賞と同舞台で争われるトライアル

皐月賞と同じ中山芝2000mを舞台に争われるトライアル、弥生賞ディープインパクト記念。クラシック出走を目指す馬たちの主な参考レースを過去10年のデータとともに振り返っていく。

東京スポーツ杯2歳S【データ:A メンバーレベル:B】

過去10年の成績【1-1-0-0】勝率50.0%、連対率100.0%、複勝率100.0%

出走は2頭と少ないが、2015年サトノクラウンが優勝、18年ワグネリアンが2着と、2頭とも好走している。

スタート後すぐに、外から先頭に立ったテリオスルルが逃げる展開で1000m通過は59.1、縦長の隊列で流れた。ゴール前では道中3番手追走から抜け出したシュトラウスが後続に1馬身半差をつけて勝利。勝ちタイム1:46.5での決着となった。

シュバルツクーゲルは道中2番手を追走。最内枠からロスなく立ち回り、直線で一旦は勝ち馬に食い下がったが、最後は脚色が鈍って2着だった。切れる脚はないことから、新馬を勝った中山コースに戻るのはプラス。このメンバー相手に持久力勝負に持ち込んでどこまでやれるか注目が集まる。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

3歳1勝クラス(中山芝2000m・1月)【データ:A メンバーレベル:C】

過去10年の成績【2-0-0-1】勝率66.7%、連対率66.7%、複勝率66.7%

同年1月に組まれている中山芝2000mの3歳1勝クラスからは3頭が挑み、20年サトノフラッグと22年アスクビクターモアが勝利。相性が良いローテと言える。

1月8日に11頭立てで行われたレースは、ニューステソーロが逃げて1馬身差でエセルフリーダとフォルラニーニが追走する展開で、前半1000mは59.9で通過した。後方3番手から運んだ3番人気ファビュラススターは、外から徐々に進出を開始し、残り200mで先頭に立った。抜け出してから内にモタれる場面はあったが、4角9番手から追い込んだコスモキュランダをクビ差しのぎ切った。

高速馬場かつペースがある程度流れていたのもあるが、勝ちタイム1:59.8はまずまず。ファビュラススター、コスモキュランダともに流れ一つで皐月賞の権利を獲得する場面があってもいい。

ホープフルS【データ:B メンバーレベル:A】

過去10年の成績【1-2-5-8】勝率6.3%、連対率18.8%、複勝率50.0%

GⅡ時代も含めた過去10年で16頭が参戦し、勝利したのは21年タイトルホルダーのみ。しかし18年以降は毎年3着以内に入る馬を輩出している。

2番枠からスタートしたヴェロキラプトルが逃げ、2番手アンモシエラがそれをピッタリとマークする展開で前半1000mを1:00.0で通過した。レース序盤、後方3番手を追走していた牝馬のレガレイラが徐々に進出を開始。直線では、大外から豪快に突き抜けて2:00.2で勝利した。

シンエンペラーは道中3、4番手のインを追走した。直線で早め先頭に立って押し切りを図ったが、レガレイラに差し切られ3/4馬身差の2着。抜け出した際はソラを使ってヨレる場面も見られたが、能力が高いことを改めて見せつけた。

シリウスコルトは中団のインで脚を溜める競馬。4角もロスなく立ち回り力は発揮したものの、横に広がった直線での追い比べに競り負けて6着という結果に終わった。

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若駒S【データ:B メンバーレベル:C】

過去10年の成績【2-0-1-4】勝率28.6%、連対率28.6%、複勝率42.9%

過去10年では14年トゥザワールド、16年マカヒキが勝利。しかしリステッドとなった19年以降は23年ワンダイレクトの3着が最高成績だ。

重馬場で7頭立てとなったレースは、今回出走予定のサンライズジパングが制した。ミカエルパシャが引っ張る展開で1000m通過は1:01.7。後方2、3番手にいたサンライズジパングは3角から武豊騎手の手が動き始めるも、4角では最後方に後退。それでも直線は大外から豪快に突き抜け、後続に1.3/4馬身差をつけた。勝ちタイムは2:02.8だった。

2走前のホープフルSでは4角で外に膨れた馬の煽りを受けるロスがありながら3着と好走。エンジンがかかるまで反応の遅さはあるが、ここでも好勝負になるだろう。

葉牡丹賞【データ:C メンバーレベル:C】

過去10年の成績【0-0-0-3】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率0.0%

葉牡丹賞からの参戦は3頭、23年アームブランシュの4着が最高着順となっている。

9頭で争われたレースは、マーゴットソラーレが単騎で逃げ、2番手にレイデラルースがつける展開で1000m通過は1:01.7。1番人気のトロヴァトーレは道中5番手のインを追走。直線はやや外に持ち出して馬群を割ると、上がり最速33.9の末脚で一気に突き抜けて後続に2馬身差をつけ、2:00.4で快勝した。戦ってきた相手が強いとは言えないが、器用な立ち回りから瞬発力を発揮したレース内容は、重賞でも十分通用するレベルにある。

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アイビーS【データ:なし メンバーレベル:B】

過去10年で出走なし

6頭立てとなったレースは、先手を奪ったホウオウプロサンゲが1:03.1で前半1000mを通過するスローペースで逃げ、4角で後続をやや引き離してしぶとく粘った。しかし、2番手追走のダノンエアズロックがこれをゴール前で捉えた。2着ホウオウプロサンゲに3/4馬身差をつけ、1:48.2の好タイムで勝利した。

ラスト11.2-10.9-11.0(33.1)と瞬発力勝負になったところを上がり32.7で差し切ったダノンエアズロックの内容は素晴らしく、3着に負かした相手は次走でホープフルSを勝利したレガレイラという点も評価。中山コースは初めてとなるが、牡馬では世代トップクラスの素質を秘めている。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。



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