辰年の春節、各地で人気を集めた「竜」 中国山東省

辰年の春節、各地で人気を集めた「竜」 中国山東省

12日、臨沂市河東区九曲街道三官廟社区(コミュニティー)の中庭で、竜燈扛閣のリハーサルをする演者たち。(済南=新華社配信)

 【新華社済南2月27日】新年に華やかさを添えた無形文化遺産「竜灯扛閣(りゅうとうこうかく)」、人々の関心を集めた博物館の展示、好調な売れ行きを見せた文化クリエーティブ商品…。辰(たつ)年の春節(旧正月)を迎えた中国山東省では、歴史を飛び越えた「竜」が伝統文化と現代生活を融合させ、人々の人気を集めた。

 県立博物館で唯一、国家1級総合博物館に指定される青州市の青州博物館には竜にちなんだ文化財が一堂に展示され、春節期間中に訪れた展示ホールでは、和田(ホータン)玉を彫刻した国家1級文化財、後漢時代の「宜子孫玉璧」に多くの来場者が見入っていた。

辰年の春節、各地で人気を集めた「竜」 中国山東省

17日、青州博物館で、宜子孫玉璧を見る人たち。(済南=新華社記者/楊文)

 今年は博物館などの文化機関や風景区の多くが、竜をテーマにした展示やイベントを行った。青州博物館の王謹霞(おう・きんか)副館長によると、同館では竜にちなんだ文化財を写真や動画で撮影した来場者に記念品を贈呈。SNSへの投稿やスタンプラリーを通じて竜の文化を探る人もいた。関連データによると、今年の春節は故宮博物館(北京市)や南京博物院、広東省博物館、蘇州博物館、三星堆博物館(四川省)などでも来場者数が高い水準を維持した。

 各地に伝わる竜をかたどった文化クリエーティブ商品も続々と発売された。国家級無形文化遺産に指定される高密市姜荘鎮聶家荘(じょうかそう)村の泥人形「聶家荘泥塑(でいそ)」の第22代伝承者、聶鵬(じょう・ほう)さんの工房には、手のひらサイズから重さ30キロのものまで、竜をかたどった大小さまざまな作品が並んでいた。聶さんは「以前は虎の泥塑だけを作っていたが、ここ数年は干支(えと)にちなんだ作品も作るようになった。今年は既に竜の泥塑が5万個売れ、収入も3割増えた」と語った。

辰年の春節、各地で人気を集めた「竜」 中国山東省

山東省高密市姜荘鎮聶家荘村の工房で泥塑を作る国家級無形文化遺産「聶家荘泥塑」の第22代伝承者、聶鵬(じょう・ほう)さん。(1月29日撮影、済南=新華社配信)

 同省臨沂(りんぎ)市沂南県にある紅石寨(こうせきさい)無形文化遺産館では、面塑(しん粉細工)職人の左安勝(さ・あんしょう)さんが辰年にちなんだ特注品の制作に追われていた。最近は特注品を求める客が後を絶たないという。注文した竜の面塑を引き取りに来た客の一人は「辰年生まれの子供のために注文した。お祝いの意味で」と笑顔で話した。

 同市河東区九曲街道三官廟社区(コミュニティー)の中庭は竜灯扛閣のリハーサルを行う演者らでにぎわっていた。2011年に国家級無形文化遺産に登録された竜灯扛閣は、竜舞と子供が乗った鉄棒を大人が担いで踊る「扛閣」という二つの民間芸能を融合させた出し物で300年以上の歴史を持つ。

 竜は中華民族の代表的なトーテム、精神を示す印であり、辰年の新春には神話から躍り出た竜が、知らず知らずのうちに中国人の文化に対する自信を高めた。(記者/楊文)

辰年の春節、各地で人気を集めた「竜」 中国山東省

臨沂市沂南県の紅石寨無形文化遺産館で、辰年にちなんだ作品を見せる面塑職人の左安勝(さ・あんしょう)さん。(2月7日撮影、済南=新華社配信/王彦氷)

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