日本代表が味わった異様な北朝鮮戦…元DF槙野智章が明かす「空港で全部没収」「時間が分からない」「全面鏡張り」「ずーと軍歌」

パリオリンピック出場をかけたアジア最終予選で北朝鮮と対戦中のなでしこジャパン。

男子の日本代表も3月に北朝鮮とのワールドカップ予選2連戦を控えている。もし、平壌でのアウェイゲームとなれば、2011年以来のことになる。当時は2014年ワールドカップに向けた3次予選で対戦し、日本は敵地で0-1で敗れた。

当時の日本代表メンバーだった槙野智章は、『ABEMAスポーツタイム』で、2011年の北朝鮮戦についての秘話を明かしていた。

「試合はもちろん行われました。でも、一番難しかったのは、スタンドにいる人たちはほとんど軍隊の方たちです。異様な空気のなかで…。

(ピッチも)天然芝じゃなくて、人工芝なんですよ。国際大会で人工芝でプレーすることはほとんどなかったです。

スタンドにいるのは全て男性です、女性は入ってないですね。スタンドで行われているのは、マスゲームといって、プレー中にマス(mass)がどんどん動くんですよ。意味わかりますか?表とか裏とかで色とかをボードで出して、絵がどんどん変わっていくんですよ。試合が行われているなかでスタンドがそういうことをやっているという異様な空気のなか…。

本当にあの…何て言うんですかね、よく国に入れたなって感じです。

中国経由で僕らは入ったんですけど、空港でまず全部没収されます。PC、iPad、携帯(電話)、全部没収されます、とられます。日本代表に帯同するシェフの方も選手のために食材を用意しているんですけど、それも全部空港でとられました」

「かなり難しかったのが、北朝鮮の空港に着くじゃないですか。空港からホテルまで道(距離的に)にして大体バスで15分くらいなんですけど、なんと4時間かけられました。

試合までのストレスを与えたい、プレッシャーを与えたいっていうのがあったと思います。4時間ずーと同じような道をグルグルグルグル。携帯も持ってないので、Google Mapも分からないし、ホテルどこなの、こんなに遠いんだ、みたいな。ずーと外見ていても一向に着かないみたいな感じです。

色んな状況ありましたよ。ホテルのなかも時計が全部ないので。時計をとられるんですよ、時間が分からないんですよ。携帯もないので、いまどれくらい動いているのか分からないんですよ。体内時計です、全部。部屋のなかは全部鏡張りなので、全部鏡張り。

で、これすごいのが、ずーと軍歌が流れてるんですよ、ホテルのなか。ゆっくりする時間ないです!1人1部屋あるんですけど、部屋の前に軍隊がいるんですよ。ずーと見張られているんですよ、ずっと立ってる。

そんな異様なホテルの暮らしとか、ホテルからバスの移動だとか、そういうのを経て試合会場に入るみたいな感じ。僕らそこに4日間いましたよ。試合ももちろんタフですけど、試合前の時間の作り方とかアプローチがかなり難しいものがありましたね」

槙野は試合自体には出場しなかったが、とにかく異様だったとのこと。

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なお、なでしこは中立地で行われた北朝鮮との1stレグを0-0で引き分けた。運命の2ndレグは28日に東京の国立競技場で行われる。

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