前衛陶芸集団の歩み紹介 特別展「走泥社再考」 岡山で開幕

走泥社メンバーによる土を使った自由な造形に見入る入場者

 戦後の陶芸界を50年にわたりリードした前衛陶芸集団・走泥社(そうでいしゃ)の歩みを紹介する特別展「走泥社再考―前衛陶芸が生まれた時代」(岡山県立美術館、山陽新聞社主催)が27日、岡山市北区天神町の県立美術館で開幕した。伝統や実用性に縛られない自由な造形表現が、訪れたファンらを楽しませている。4月7日まで。

 走泥社は1948年、八木一夫、鈴木治、山田光ら京都の陶芸家5人が結成。土を使った新たな造形を模索し、“オブジェ焼”というジャンルを生み出したことで知られる。

 特別展は前半の活動に光を当て、同人たちの作品を中心に約180点を展覧。同時代に前衛陶芸運動を展開した四耕会、日本陶芸に影響を与えたピカソやイサム・ノグチらの作品も並ぶ。カフカの小説「変身」をモチーフに、円環から小さな“脚”を生やした八木の「ザムザ氏の散歩」、白化粧を施した表面に無数の片仮名をちりばめた鈴木の「フタツの箱」、側面を大胆にカットした山田の「切った壺(つぼ)」などユニークな作品がそろう。

 一般公開に先立ち開会式があり、松田正己山陽新聞社社長、久山順一県文化スポーツ振興監が「戦後、価値観が変化する中で新しい時代を切り開こうという熱意が伝わる作品ばかり。存分に楽しんでほしい」とあいさつ。協賛の吉村武大スマートドライバースクール備岡校代表、岡崎彬同館運営協議会長、守安收同館長を加えた5人がテープカットした。

 月曜休館。

テープカットする主催者ら

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