物言う株主が米ディズニーにAI戦略要求 株価2倍超と予想

Dawn Chmielewski Svea Herbst-Bayliss

[26日 ロイター] - 米娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニーの株主である米ブラックウェルズ・キャピタルは26日、「ディズニーは人工知能(AI)戦略を策定し、内容を株主と共有しなければならない」などとする経営陣への要求を明らかにした。実行すればディズニー株価は現在の107.74ドルから、最大129%高い(約2・3倍の)246.96ドルに達する可能性があるとの予想を示した。

ブラックウェルズは同社株主のアクティビスト(物言う株主)2者の1つ。取締役に自薦3人の選任を求めているほか、最近では、会社分割や、テーマパークとホテルの資産を切り離して不動産投資信託(REIT)の運用資産にすることなどが可能と主張している。

ブラックウェルズによると、大手ハイテク企業は大規模なAI戦略を発表した2023年以降、時価総額を計5兆2000億ドル以上増やした。ディズニーも同様に大がかりなAI戦略を掲げて、(最適なテクノロジーを組み合わせる)技術スタックなどに敏感になれば、時価総額の増加は、そうしたハイテク大手よりも大きい可能性があるという。

また、ブラックウェルズはディズニーがテクノロジー変革に注力するため最高技術責任者(CTO)を採用することも提案した。ディズニーがAI戦略に本腰を入れれば、その影響は最も小さい場合でも大手ハイテク企業並みだと指摘し、「AIと空間コンピューティングの分野のディズニーの可能性を過小評価することはできない」と付け加えた。

ブラックウェルズの批判は厳しいものの、ディズニーはこれまでの半世紀の間、新しいテクノロジーへの投資を実施しているのも事実だ。1973年以降、米特許商標庁(USPTO)に登録した特許4172件のうち、260件は拡張現実に関係している。中には同社テーマパークの動く乗り物に組み込む技術もある。歴史的に見てもテーマパークは同社のテクノロジーのショーケースの様相だ。

ディズニーの最近のAI戦略を巡ってはロイターが昨年報じたように、コングロマリット全体への適用の在り方を研究する特別チームを設立している。

ブラックウェルズがディズニー経営陣を批判した26日、ディズニーは「約束は守られた。約束は守られる」と題した株主向け書簡の中で、取締役会は株主価値を回復するための「野心的な計画」の必達に注力していると言明した。さらに、会社分割案などに強く異議を唱え、アクティビストの推す取締役候補が就任すれば成長が妨げられると反論した。

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