技術の力でザリガニ産業を高度化 中国湖北省潜江市

技術の力でザリガニ産業を高度化 中国湖北省潜江市

湖北省潜江市にあるザリガニ取引センターでザリガニを販売する養殖業者。(2022年6月25日撮影、潜江=新華社記者/伍志尊)

 【新華社潜江2月27日】中国湖北省潜江市にある国営農場の分場「後湖管理区張家窯(ちょうかよう)弁事処」のザリガニ養殖池ではこのところ、地元の養殖業者、李福建(り・ふくけん)さんが水揚げ作業に追われている。李さんは寒波に見舞われる中、ボートを押して池に張った氷を割り、捕獲籠を引き上げ、新鮮なザリガニを大量に水揚げした。李さんによると、今は市場に出回っているザリガニが少ないため、こうして時期をずらして出荷すれば高く売れるという。

 江漢平原に位置する潜江市には河川や湖が多く、ザリガニの年間生産額は750億元(1元=約21円)を上回り、20万人以上が関連産業に携わっている。ただ、晩秋から早春にかけては、ザリガニの習性や地元の気候などの影響により、ほぼ水揚げはない。冬はザリガニが泥に潜って冬眠するが、今年は多くの養殖業者が時期をずらして出荷したため、春節(旧正月)に多くの家庭が会食の料理に選んだ。

 このように出荷時期をずらせるようになった背景には、研究スタッフの力がある。同市は昨年、「ザリガニのオールシーズン出荷」養殖技術を開発する方針を打ち出した。同年の1月末、水産技術の専門家らが李さんの養殖池を訪れ、「ザリガニのオールシーズン出荷」の試験モデル拠点建設に着手した。

 李さんは「温室を建てることでも冬ザリガニの養殖はできるが、技術的なハードルが高い上、数十万元の投資が必要になるので、誰もやりたがらなかった。今は水産技術者の支援を受け、1ムー(約670平方メートル)当たり5千元以下のコストで年4回養殖でき、1ムー当たり1万5千元の収入が見込めるようになった」と語った。

技術の力でザリガニ産業を高度化 中国湖北省潜江市

湖北省ザリガニ産業技術研究院の観察水槽内で育つザリガニ。(1月5日撮影、潜江=新華社記者/肖芸九)

 同市は昨年末、ザリガニ産業の質の高い発展をさらに促進しようと、中国科学院水生生物学研究所や湖北省農業科学院、華中農業大学などと共同で湖北省ザリガニ産業技術研究院を設立した。

 同研究院の李明波(り・めいは)副院長は、これまでに4件の特許技術を取得し、秋冬季の養殖技術を基本的に開発したとして、今年は養殖に適した地域での大規模な試験や技術成果の普及に取り組む考えを示した。

 地元企業もここ数年、研究開発投資を増やし、ザリガニ産業チェーンを一層拡大している。ザリガニの加工時に生じる殻は8割が廃棄され、同市でもこれまで年間5500トン余りを廃棄していた。

 市内にあるザリガニの養殖加工会社、華山科技の生産現場では、「廃棄物を宝に変える」研究を進めており、医薬品や健康食品、化粧品向けにザリガニの殻からキチンやキトサン、キトサンオリゴ糖を精製し、関連製品を欧米に輸出している。(記者/楽文婉)

技術の力でザリガニ産業を高度化 中国湖北省潜江市

湖北省潜江市にあるザリガニ加工会社で働く作業員。(2021年6月9日撮影、潜江=新華社記者/程敏)

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