元銀行員だから教える「銀行で新NISAはおすすめしない」といわれる本当の理由

2024年1月の投資信託の流入額は約1兆3000億円

日興リサーチセンターによると、新NISAがスタートした2024年1月の投資信託の流入額は約1兆3000億円で、早速多くの投資家が新NISAを活用していることが分かります。

ニュースを見て、NISA口座の開設を検討している人も多いかもしれません。

NISA口座は主に証券会社や銀行などの金融機関で開設できますが、「銀行はおすすめしない」といわれることがあります。

本記事では、元銀行員の筆者がNISA口座を銀行で開設することがおすすめしないといわれる理由について紹介します。

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銀行で新NISAはおすすめしないといわれる理由

NISA口座の開設先を探すとき、「いつも利用している銀行で開設したい」と考える人もいるでしょう。

たとえば、給与を受け取っている銀行で開設すれば資金移動をする手間もかからず便利です。

ただし、その際は銀行でNISAを開設するデメリットをきちんと理解しておくことが大切です。

ひとつずつ紹介していきましょう。

取扱商品がネット証券に比べて限定的

新NISAにはつみたて投資枠と成長投資枠があり、それぞれ多くの金融商品が投資対象となっています。

つみたて投資枠の投資信託だけでも約280本のファンドが採用されており、投資家は多くの選択肢の中から投資先を選定することができます(2024年1月末現在)。

つみたて投資枠対象のファンド数

しかし、銀行ではネット証券に比べて取り扱っている投資信託の本数が少ない傾向にあり、「多くの投資信託に分散したい」、「豊富な選択肢の中から選びたい」という人にとっては不便に感じるかもしれません。

成長投資枠で株式が購入できない

新NISAの成長投資枠では、上場株式も投資対象となっています。

国内株式だけでなく米国株式などの外国株にも投資できるため、よりさまざまな投資ニーズに対応できる非課税枠です。

しかし、株式が購入できるのは証券会社のみで、銀行では購入手続きを行うことができません。

「配当銘柄や優待銘柄に投資したい」と考えている人は、株式を購入できる証券会社の方が向いているでしょう。

成長投資枠での投資信託の購入手数料が高い傾向にある

成長投資枠では投資信託を購入することができますが、その際の購入手数料は金融機関によって異なります。

ネット証券では購入手数料を無料としているところが多い一方、銀行では3.3%ほどの購入手数料がかかる場合があり、購入時のコストが高い傾向にあります。

同じ投資信託を購入する場合でも、利用する金融機関によって手数料が異なるため、コストを重視する人にとっては注意が必要です。

なお、つみたて投資枠の投資信託については、購入手数料が無料のファンドのみが採用されているため、どの金融機関を利用しても手数料に差はありません。

銀行は対面で相談できる安心感がある

銀行でNISA口座を開設することはいくつかのデメリットがあるものの、一方でネット証券にはない魅力もあります。

そのひとつが「対面で相談できる」という点です。

NISAでの資産運用は損失が発生するリスクがあることから、「自分1人で投資先を選定する自信がない」、「どれくらいの金額を投資に回したらいいのだろう」など多くの不安を感じることがあります。

窓口で直接相談できる銀行では、こうした不安をひとつひとつ解消しながら資産運用に取り組むことができます。

大切な資産だからこそ、アドバイスを得ながら運用方法を決めることも大切なポイントです。

NISAは開設後に変更ができる

NISA口座は「1人1口座」という決まりがあり、同時に複数の金融機関で開設することができません。

ただし、1年ごとに変更することは認められており、NISA口座を開設した後でも手続きを行うことで、異なる金融機関にNISA口座を引っ越しすることができます。

そのため、「どの金融機関を利用するか決めきれない」という場合は、ひとまずいずれかの金融機関で開設してみて実際の利便性やコストを確認する方法もあります。

もし「自分の投資意向に合わない」となれば、翌年に異なる金融機関へ変更するとよいでしょう。

自分の投資意向に合った金融機関を探してみよう

NISA口座は1人1口座に限定されているため、どの金融機関を利用するかよく考える必要があります。

「銀行はおすすめしない」といわれることがあるものの、対面でのサポートを希望する人にとっては安心して資産運用が行えるメリットがあります。

NISA口座を開設するときは、いくつかの金融機関を比較してみて、「なるべく低コストで利用したい」、「担当者に相談しながら取り組みたい」など自分の意向に合った金融機関を利用するとよいでしょう。

参考資料

  • 日興リサーチセンター「投信概況(2024年1月)」
  • 金融庁「つみたて投資枠対象商品の分類(2024年1月30日時点)」

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