「保育士の奪い合いで、まるで戦争」深刻さが浮き彫りに 待機児童の解消へ議論  沖縄県内最多の名護でシンポ

名護市の待機児童問題について議論する保育関係者ら=23日、同市大北公民館

 島ぐるみ会議名護は23日、沖縄県名護市の大北公民館で市内の待機児童に関するシンポジウムを開いた。県内市町村で最も待機児童が多い状況を改善しようと、保育園の園長や保護者、市議会議員が登壇し、待機解消に向けて意見を出し合った。(北部報道部・松田駿太)

 子ども家庭庁の調査によると、2023年4月1日時点で同市の待機児童は56人おり、全国の市町村で3番目に多い。

 市議の多嘉山侑三さんは待機児童が多い要因として、市の調査で市内19の保育所で計60人の保育士が不足していることを挙げた。24年度に同市大北に認定子ども園が開園予定で、定員が131人増えるが、運営に必要な保育士19人の確保に懸念を示した。

 2歳の子どもを育てる儀保唯さんは昨年、認可保育園の2次募集に落ち、滑り込みで認可外に預けることができた。「当時は夫婦どちらもフルタイムで働いていて、かなり悩んだ」と打ち明け「子どもが待機児童になったら(夫婦どちらかが働けず)世帯収入が減る。子どもを預けるにもベビーシッター代などでお金がかかる」と語った。

 同市宇茂佐の「実りの森保育園」園長の岸本功也さんは、国は保育指針を改定し保育の質向上を求める一方、保育士の算定賃金は上げていないとし「この国は保育士におんぶにだっこで保育してきた」と批判。過重労働や低賃金が重なり保育士不足に拍車がかかり「現場では保育士の奪い合いが起き、まるで戦争。名護市は保育士確保へ、給与に上乗せする予算を確保するべきだ」と指摘した。

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