伊藤万理華、多様性をテーマにした「パーセント」で主演。新人プロデューサーと俳優を目指す車椅子の高校生の物語

伊藤万理華が、NHK総合で5月10日にスタートする土曜ドラマ「パーセント」(土曜午後10:00)で主演を務めることが発表された。また、ドラマ初出演となる和合由依が共演する。

「パーセント」の舞台は、多様性実現を掲げるテレビ局。“新しい時代のドラマ”を作るため白羽の矢が立った新人女性プロデューサーと、俳優を目指す車椅子の高校生が、性別や障害で語られる自らの“価値”に、何度も悩み傷つきながら、互いの存在に力をもらって、少しずつ前に進む中で希望を見いだしていく物語だ。

NHKドラマ初主演となる伊藤が演じるのは、ローカルテレビ局・Pテレの局員として働く吉澤未来。自身が提案した学園ドラマの企画が採用され、プロデューサーとして制作のチャンスを得て、「障害のある俳優を起用する」という局の方針に悩みながらも、取材を始めることになる。

伊藤は「人との距離感に境界線がなくなればいいのに。数年前から、物創りを通して考えていたタイミングで『パーセント』のお話をいただきました。最初は好奇心と恐れで意気込み過ぎていましたが、それは杞憂(きゆう)でした。ハルを演じたユイちゃんのまなざしに何度も胸を打たれ、引っ張られました。頑なにならずもっとシンプルに、素直に対“人”、対“あなた”に精いっぱい言葉を尽くす。ずっと大切にしてきたことを(演じる)未来と重ねながら、少しの感情も逃さずに向き合った作品です。ハルと未来の新鮮なきらめきが『パーセント』に詰まっています。未来として『パーセント』を作ることができ幸せです!」と作品と真摯(しんし)に向き合った心境を明かす。

一方、オーディションで抜てきされた和合は、ドラマ初出演俳優を目指す車椅子の高校生・宮島ハルに扮(ふん)する。ハルは障害がある俳優たちが所属する劇団「S」のメンバーとして、放課後や休日に芝居の稽古をしている。そんな中、未来と出会い、Pテレが制作するドラマの出演オファーを受ける。

東京2020パラリンピック開会式の「片翼の小さな飛行機」役として主役を務めた和合は、今回初めてドラマ撮影に臨み、撮影を通じて感じた思いを「宮島ハルに出会って、私はこれからを生きていくための力をもらえた気がします。『自分を生きる』ってとても難しい。何かにもがいては、また一からスタートして、そのたびに自問自答を繰り返して、自分を見つめ直す。人生ってそう簡単に進まない。だからこそ人は生きれば生きるほど強くなる。この作品を通して、宮島ハルを演じて、私は『生きる』ということについて考え直しました。日々成長していくハルと一緒に私も成長できた気がします」と伝える。続けて「泥くさい部分を持ちながらも、一つ一つの出来事と向き合って一生懸命に生きる彼女の姿ものぞきながら、このドラマが誰かにとって“明日も頑張ろう“と思える、背中を押してくれる作品となりましたら幸いです」とメッセージを寄せている。

作品を手掛ける南野彩子プロデューサーは「数年前、私は1人の俳優の履歴書を前に頭を抱えていました。その俳優は車椅子に乗っていました。私は思わず、『障害のある人って、撮影現場にお迎えできるんだっけ…』そんなことを考えてしまいました。私のその偏見こそ、彼のような俳優の活躍の場を狭めてきたんじゃないか。そんな思いから、障害のある俳優さんたちを拒むことのない撮影現場を作りたいと、企画を出しました。けれど、撮影の準備を進める中で、何度も『これでいいんだろうか』と立ち止まってしまいました。例えば、障害のある俳優を起用するためオーディションを開催しようとすると、募集要項が書けないんです。『多様性のために』とか『こんな時代だから』とか言葉を並べるほど、なんだか奇麗事を言いたくて人を利用しているような感覚になりました。『障害があるから』という理由で人を選ぼうとしている時点で何か間違っているんじゃないか。そもそもなぜ、障害者と健常者って線を引いているんだっけ…。『あなた』と『私』、ただ1対1の関係を築きたいのに、それを阻むものはなんだろう。考えれば考えるほど、自分がどう他者と向き合ったらいいか分からなくなってしまいました」と、企画の成り立ちと制作する上での葛藤を告白。

併せて「それを業界の話にとどめず、人が人と出会う尊さ、関係を築く難しさ、それでも対話することの大切さ…今を生きる生身の人間の物語として作り上げてくれたのが、脚本の大池容子さんです。そして主人公・未来を演じるのは伊藤万理華さん。未来はさまざまなモヤモヤを抱えてもがき続ける人物なのですが、そんな未来の気持ちを全身全霊で表現してくれました。さらに、未来に大きな影響を与える人物・ハルを演じるのは、ドラマ初出演の和合由依さんです。彼女の芝居をオーディションで見た時、『この人と一緒にドラマを作りたい!!』と、心が震えました。未来とハル、2人の出会いから生まれたさまざまな感情を、ぜひお楽しみいただけたら幸いです」とスタッフ・キャストについて触れながら、作品をアピールしている。

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