デジタル技術で5千年前の遺跡を再現 中国甘粛省

デジタル技術で5千年前の遺跡を再現 中国甘粛省

  【新華社蘭州2月27日】中国甘粛省蘭州市で、技術者らが約5千年前の大規模集落跡の南佐遺跡をデジタル技術で復元した。展示室で横たわる欠けた陶製人形がデジタルの力で元の姿を取り戻し、音楽に合わせて祭祀(さいし)舞踊を披露。VR(仮想現実)ゴーグルの画面には当時の人々が火を使って食事を作り、土器を焼く様子が映し出される。

 デジタル化を手がけた同市の企業、絲綢之路信息港の王昱鷗(おう・いくおう)スマートデジタル再構築プロジェクト部経理(マネジャー)によると、技術チームは発掘報告書や専門家の見解に基づき陶製人形の元の姿を推測し、人物の特徴を捉えて復元したという。

 南佐遺跡は同省慶陽市西峰区董志塬(とうしげん)にあり、1950年代末に発見された。約5千年前の仰韶(ぎょうしょう)文化後期から廟底溝(びょうていこう)第2期文化にかけての大規模集落遺跡で、高位者が居住していたと見られる。既存の考古資料によると、遺跡の外環壕内の面積は約600万平方メートルで、当時最大規模の集落だったことを裏付けている。大型宮殿式建築の面積は800平方メートルで、うち室内部分は630平方メートルに及ぶ。

 王氏は「大型遺跡を復元するには多くの実地調査と綿密な考証が必要」と指摘。技術チームは史料の考証を終えると実地調査を行い、気候環境や地理環境など重要な情報を入手したと説明した。

 実地調査では「北斗」衛星測位システムによる高精度な位置測定やパノラマカメラによる情報収集、ドローンによる傾め撮影を実施し、復元作業に必要な遺跡と周辺環境の情報を多次元的に収集。史料や写真、映像などの整理と分析、変換のほか、パラメーター化した古建築部材や歴史的情景と連携可能な多元的パラメーター情報ベースを構築し、復元した文化遺産のパノラマ展示を実現した。

 バーチャル画面は二つの陶製人形の物語を中心に、当時の人々の生産生活や祭祀の場面を一つ一つ再現。約5千年前の黄土高原の自然景観や大殿の内部構造も鮮やかによみがえらせた。

 ここ数年は歴史文化遺産の復元や再現にもデジタル化が頻繁に用いられるようになった。王氏のチームも2019年以降、甘粛省内の八角城や大順城などの歴史文化遺産を復元している。王氏は今後の方向性として、デジタル文化財に歴史の空間と時間など多次元的情報パラメーターを埋め込み、歴史遺跡の特定の時期の姿を忠実に再現していく考えを示した。(記者/梁軍)

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