「“プータロー”では癒されない」森田理香子 6年ぶり復帰のプロセス

6年ぶりのツアー競技を前に公式会見に出席した森田理香子(撮影/桂川洋一)

◇国内女子◇ダイキンオーキッドレディス 事前情報(27日)◇沖縄・琉球GC◇6595yd(パー72)

開幕2日前に臨んだ18ホールの練習ラウンドに「疲れました」と思わず笑う。元賞金女王・森田理香子は穏やかに、ツアー競技に帰ってきた。2018年「ニチレイレディス」以来、6年ぶりの登場。休養からカムバックへの経緯と、将来の展望を公式会見で語った。

沖縄での開幕戦制覇を手始めに、年間4勝をマークして頂点に上り詰めたのが11年前の2013年。スターダムにのし上がり、「賞金女王を獲って燃え尽きたのは確か」だったと森田は認める。「そういう気持ちでは上手くいくはずがない。すべての状態が悪くなった。気持ち的には結構、病んでいました」。募る重圧と付き合いきれないまま、16年末にシードを喪失。18年のシーズン半ばから静かに休養に入った。

表舞台を降りてから「1年くらいは本当にゴルフが嫌いで、クラブを全然握れなかった」と明かす。コースとの距離は、時間を追うごとに広がったが、「やっぱり“プータロー”していても、癒されないというか」と気づくときがあった。周りに求められてレッスンや解説業に携わり、「子どもたちの目はすごくキラキラしている。楽しそうにやっている子が多くて、『いいなあ、私にも昔あったなあ』と」感じるうちに、足は自然とゴルフ場に向いた。

飛距離はまだまだ衰えない(撮影/桂川洋一)

ブランクがあるとはいえ、森田にはまだ戦えると思える根拠がある。「プロアマでお客さんと回る中で、飛距離が全然落ちていなくて」。プレーするたびに同伴競技者から「もう一度、見てみたい」と飛ぶ声にも背中を押された。「一番成績が良かった時よりは30、40ydくらい飛んでいるかもしれないですね。260ydくらい」。口にした数字が総距離ではなく、キャリーでの見立てだというから驚きだ。

世代を引っ張ったアマチュア時代を終えてからは、「他の選手が言う『ゴルフを楽しみたい』というのが、(当時の)私には分からなかった」という。「『ゴルフは仕事やし。楽しむってなんやねん』って。楽しめる選手がうらやましかった。でも、そういう気持ちが今、出てきたのがうれしい」

同い年の宮里美香と一緒に練習ラウンド(撮影/桂川洋一)

賞金女王の実績から、森田には年間8試合の推薦出場のチャンスがある。次週の「明治安田レディス ヨコハマタイヤ」(高知・土佐CC)、3月28日開幕の「ヤマハレディースオープン葛城」(静岡・葛城GC山名コース)にもエントリー。真剣モードはもちろんだが、「ツアーに(完全)復帰という気持ちはなくて、私はレッスンも、人を教える仕事、いろんな方と出会える機会、解説の仕事もしたい。でも、出るからには本気でやりたい」と将来像はいくつもある。次のゴルフ人生のスタートだ。(沖縄県南城市/桂川洋一)

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