ベトナム、労組結成に関する国連条約を年内批准へ 貿易紛争回避で

Francesco Guarascio

[ハノイ 27日 ロイター] - ベトナムが今年、労働者の結社の自由や団体交渉権に関する国連条約を批准する見込みだと、国連・外交関係者が明らかにした。通商紛争リスクを抑える目的があるが、同国に製造拠点を構える多国籍企業は手放しで歓迎しにくいとみられる。

同国は欧州連合(EU)や、カナダなど環太平洋の国々と結んでいる通商協定の下で労働者の権利に関する国連基準を適用し、低い人件費を利用した不公正競争を回避するよう求められている。

国際労働機関(ILO)ベトナム事務所のイングリッド・クリステンセン所長は同国が早期に国連の「結社の自由および団結権保護条約」を批准すると「確信している」とロイターに語った。

ハノイの外交関係者によると、ベトナム労働省の当局者らは12月に外国の専門家と開いた会合で、2024年10月に同条約を批准する見込みだと話したという。

ベトナムはカナダと24年1月までに同条約を批准することで合意していたが、実現しないまま期限が過ぎた。

一方、ベトナムのRMIT大学のグエン・フン氏は国連条約批准で労働組合の実権が強化されれば不満を持つ企業が出るかもしれないと指摘。同国にとって最大の投資家である韓国サムスン電子を含む海外勢からの投資に影響を与える可能性があるとした。

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