寺越友枝さん死去 92歳、北朝鮮で暮らす武志さん母

日本での再会が実現し、喜びにひたる武志さんと友枝さん=2002年10月、東京都内のホテル

 61年前に能登沖で行方不明となり、北朝鮮で暮らす寺越武志さん(74)=志賀町出身=の母友枝さん(92)が25日、呼吸不全のため亡くなったことが分かった。

 寺越武志さんは1963(昭和38)年に日本海で失踪し、24年後に北朝鮮で生存が確認された。母友枝さんは拉致被害者の家族会から離れ、武志さんに会うために訪朝を繰り返してきた。2002年には武志さんが一時帰国し、金沢市内の友枝さん宅に泊まるなど水入らずの時間を過ごした。

 「今はひとりぼっちや。もう一度武志に会いたい」

 2022年11月5日、金沢市内の自宅で、友枝さんはこう語っていた。友枝さんが武志さんと最後に会ったのは、2018年4月。「これで最後」と決めた66回目の訪朝の時だった。

 武志さんは毎年1月、友枝さんへ新年のあいさつの電話を入れていた。2023年1月の国際電話では、妹に母の不調を伝えられ、心配して4月までに計5回、電話を掛けてきていたという。

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