「とりあえずNISA」をしていた30代主婦…「新NISAが始まったけど、どうすればいい?」 FPがアドバイス

新NISAと旧NISAの違いがよく分からない人は少なくありません ※画像はイメージです(naka/stock.adobe.com)

2024年1月から新NISA制度が導入されました。しかし、すでに旧NISAを利用していて、「新しい制度との違いがよく分からない」…という人もいるようです。30代主婦のAさんも、あまり理解できていないけれど、とりあえずNISA制度を使っている1人です。

気がつけば新NISAがスタート…

東京都在住の30代主婦・Aさんは、30代自営業の夫と3歳の娘と暮らす3人家族です。物価の値上がりが続く世の中に不安を感じ、NISAを始めてみることにしました。

通常の株式投資などと異なり、配当などの利益を非課税で受け取ることができるNISA。AさんはNISAについて自分で調べてみるものの、あまり理解できず「とにかく加入しておけば将来の資金につながるのだろう」と考え、加入を決めたようです。もちろん加入したことは夫にも相談済みで、これが2022年9月のことでした。

NISAに加入して数カ月が経ったころ、Aさんは新しいNISAが始まることを知りました。しかし旧NISA加入者であるAさんは、このまま今あるNISA口座を運用していけば問題ないだろうと考え、新NISAがどのようなものなのか調べることもありませんでした。

しかし、知人から新NISAが始まることで旧NISAがなくなってしまうことを知らされ、「このままだとどうなってしまうのだろうか…」と心配になってしまったのです。

話を聞くと、旧NISAに加入している場合は自動的に新NISA口座に切り替わり、積立設定も新NISAへと引き継がれることを知って安心した一方「そもそも併用していて大丈夫なのか?」など不安がどんどん湧き出てきます。

NISAに加入してからといってお得に感じたこともなく「逆に心配事ばかりが増えてしまった」とつぶやくAさん。そこで、旧NISAと新NISAの違いについてFPの鳥居佳織さんに分かりやすく解説してもらうことにしました。

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新NISAと旧NISAの違いとは

――そもそも、旧NISAと新NISAの違いはなんですか?

旧NISAでは、非課税で保有できる期間が20年だったのが、新NISAでは無期限になりました。もし売却しても、その後も非課税投資枠が復活するのが大きな違いです。また、口座開設期間も恒久化されました。旧NISAと比べても、より使い勝手の良い制度に整っています。

◇ ◇

__【新NISA(2024年1月~)】
__非課税保有期間: 無期限化
非課税保有限度額: 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)
口座開設期間: 恒久化
対象年齢: 18歳以上

▽つみたて投資枠
年間投資枠: 120万円
非課税保有限度額: 1800万円

▽成長投資枠
年間投資枠: 240万円
非課税保有限度額: 1,200万円

◇ ◇

__【旧NISA(2023年12月まで)】
__口座開設期間: 2023年末まで

▽つみたてNISA
年間投資枠: 40万円
非課税保有期間: 20年間

▽一般NISA
年間投資枠: 120万円
非課税保有期間: 5年間

――旧NISAと新NISAは併用できるのですか?

旧NISAと新NISAは併用でき、別枠で管理されることになります。つみたてNISA口座で購入した商品を非課税で運用しながら、新NISAのつみたて投資枠で商品を積み立てられるため、運用益を増やしたい人におすすめです。

――旧NISAと新NISAのどちらを売却した方がよいのでしょうか?

新NISAと旧NISAでは、非課税で利益を得られるという共通点がありますが、非課税枠の再利用に違いがあります。特に、新NISAでは翌年に枠が再び利用できるため、売却するとより多くの非課税投資枠が利用できます。しかし、新旧NISAで異なる商品を持っている場合は、それぞれの商品の特徴を理解し、どちらを売るか決めることが大切です。

◆鳥居佳織(とりいかおり)/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手生命保険会社にて8年間勤務。保険コンサルティングでは個人、法人、問わず生命保険や損害保険を幅広く販売。金融ジャンルの専業ライターとして活動中。金融全般に関するさまざまな相談に応じてきた経験があり、実体験ベースでの執筆が得意。主に保険、年金、資産運用など幅広く執筆している。

(まいどなニュース特約・八幡 康二)

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